わあい、走り出したぞう!

2023年3月12日 

カーテンを開けると、空は晴れてはいるものの、少し霞んでいました。

でも、それが今の私たちの新しい出発にふさわしい空のように感じられました。

「これからはマスクは自分の判断で」と言われるものの、科学的な根拠がなくて、みんなどうしていいのかわからない、そんな中で知恵を出し合い、探りながら進むしかないのですから、決して「ぱんぱかぱ~ん」とファンファーレを鳴らしながらというわけにはいきません…

 

でも、でも、ほんとうに嬉しかった。

この日を再出発とするために、スタッフは一体どれだけの時間をかけて、話し合ってきたことか…。恐らく300時間は下りますまい。

そして、そんなスタッフを信じて、3年間もの長きにわたり、ずっとこの日が来るのを心待ちにしてくださっていた団員の皆さん達!
そのことを思うだけで、この日を迎えられる幸せに、涙がじわっと溢れてきました。

 

午前9時

集合時刻よりも、更に早く、スタッフが集まってきました。

研究所の先生にご挨拶し、事前に打ち合わせていたレイアウトで、体育館の設営開始。今回は、今までの練習では使ったことのないマイクもお借りしました。

受付は、これまで登録済みの人、初めてさんと分けて、混雑や混乱のないように工夫して、と。



9時15分過ぎ

「初めてなんですが」と、お一方。わあ、早い!

「はじめまして、どうぞよろしく!」

 

それからも、次々にやってきます。

なんと、9時45分には、スタッフが参加予測して出していた椅子の数が足りなくなってしまいました。ああ、こんなに待たれていたんだなあと、またウルウル…

あかん、泣いてる場合じゃない、追加の椅子を出さなければ…

「すみませ~ん、自分が若いと思われる方、椅子を出すの手伝って下さ~い」

あれまっ、びっくり!
呼びかけに応えてくださった「自称ワカモノ」(笑)の、なんて多かったことか!

あっという間に、椅子が追加されました。

その間も、あちらこちらで「お久しぶり」と、再開を喜び合う姿が…

 

午前10時

予定時刻になりました。

よおっし、始めるぞう~!

「皆さん、お待たせしました」

この一言を発するだけで、もう胸がいっぱい。お伝えしようと思っていたことも、全部吹っ飛んでしまいました。

でも、言葉にしなくてもいいよね。みんなの顔をみていたら、ちゃんと分かってくださってたもの。どうか、楽しい時間になりますように!

 

まず、口開けは…

この3年間に凝り固まった心と体をほぐすコーナーのはじまり、はじまり~!

登場したるは、こんにゃく座の沖まどかさん。

マスク越しだけれど、まっすぐによく通る声で「こんにちは~」

こんなに小柄な体から、どうしてこんな声が出るの???

 

動きやすいように、ちょっと後ろの方に移動しましょうか。

「まっすぐ立ってみましょう。でも、力を抜いて。」

ブッラ、ブッラ、ブッラ、ブッラ…

まっすぐ立つ事なら何となくできそうだけど、この力をぬくというのがよくわからない。

全く力を入れなきゃ、へなへなと倒れてしまうしね。う~む。

 

次は、骨盤だ。

「お尻の骨(坐骨)をちょっと突き出すようにして、骨盤を前に傾けま~す」

「次は、膝をほんのちょっと曲げて、おしりの骨(坐骨)を前方に落とすようにして、骨盤を後ろに倒しま~す」

「上半身を動かさないで、骨盤だけ回してみましょう」

膝をついて、ネコが伸びをするポーズも。


これは、ネコ好きな人には、とても分かりやすかったかな。

でもね、言われた通りにやっているつもりだけど、見るとやるとじゃ、大違い(笑)

まっ、いいか。大事なことは、自分の体を知って、自分の体を大事にするということだと思うものね。

でも、ちゃんとみんなの身体がほぐれていたの、気づいたかしら?

最後にみんなで歌った「森は生きている」の「♪もえろ、もえろ、どんどんもえろ~」の声の、なんと素晴らしくのびやかだったことか!

体育館中に響き渡ったのには驚かされました。

まどかさん、本当にありがとうございました。


ここで、ちょっと休憩をはさんで。

 

いよいよ、お待ちかねの「♪ぞう」ですよ~!

今回は、モリヤンの指揮で、伴奏は「みなとぞうれっしゃ合唱団」の町澤恵さんにお願いしました。

前に立ったモリヤン「すみませ~ん。こんなに前だとちょっと圧迫感があるから、椅子を後ろに下げてね。男声陣は真ん中で、アルトさんは左、ソプラノさんは右に」

はあい。

あらまあ、ほとんど皆さん、これまでの練習環境と違うのに、ちゃんとそれぞれのパートのところにいらっしゃる!

 

今日は、初めてさんが何人もいらっしゃったので、予定を変更して、10番と11番をざくっと歌ってみることになりました。

どれだけ声がでるのか、心配でと言われた人が多かったのに、みんなで歌うと怖くない、何となく歌った気分になっちゃったわ~(笑)

初めてさんも、ホワイトボードに貼り出した年季の入った歌詞カードをみながら、口ずさめたようで、一安心。

ま、細かいところは、酒井さんにお任せしましょ。

ということで、本日の練習は終了。

急遽ピンチヒッターを引き受けてくださり、合唱をリードして練習を支えて下さった町澤さん、本当にありがとうございました。


実はね、3年前には子どものパートを歌っていたのに、今回は声変わりをして大人のパートに移るという子が4人もいて、3年という期間の長さを知らされなんとまあと驚くばかり。みんな大人のパートを歌えることが嬉しいんだって。


それからね、今回はなんと足立区から「子どものときに神奈川でぞうを歌った」姉妹が、お子さん3人を連れて参加されて。

コロナ前にHPからの問い合わせをいただき情報を送っていたのだけれど、まさか初回練習に来られるとは思っていなかったので、ぶったまげてしまい…

どうやら、かつて神奈川で私たち川口ぞうの何人かが歌ったときに、一緒にステージに出ていたみたいということも分かって、ぞうがつなぐ不思議なご縁を喜びあったという次第。

 

O先生のお誘いで見学にいらしたNさんご一家も「楽しかった」って、帰り際に正式に登録してくださったり、あれやこれやバタバタの中にも、ほんとに心弾むことばかり。



最後に、今回サーカスの少女を歌ってくれる西山かれんさんをご紹介。

かれんさん、20年の時は、まだ学生さんでしたが、今は事務所に所属して歌っています。今回はきちんと事務所にもお話して、少女を引き受けてくれることになりました。またあの「かれんな」声が聴けることになり、嬉しいな~。

 

さて、次回は26日。

すでに桜は散り始めている頃かしら。

果たして、みんなどんな顔でやってくるか、楽しみ、楽しみ...

 

Text  by あのじ

Photo by くのいち、びん、ホープ森山、あ

 

3年前は赤ちゃんだったのにね💛