ここで また あおうね!
3月15日
日に日に世界は悪くなって、ため息ばかり出てくる今日このごろ。。。
でもね、今日は、待ってた同窓会の日!
あのじは、みんなに会えるのが嬉しくって、朝からルンルン。思わず鼻歌なんか歌っちゃったりして(笑)
団員のMさんの母上の作られた刺し子のトートに荷物をいっぱい詰めこんで、大事な鍵は、S君ママからいただいたぞうのポシェットに入れて、と。
いつもの黄色いTシャツには、こんなにゾウさんくっつけた😊
「参加したいのに、参加できない、残念、残念」とメールや電話を下さったたくさんの団員さんたちの思いも背負って、よおし、いってきま~す!

少し霞んでいるけれど、西の空には雪を戴く富士山も見えて、それだけでも幸せ。

9時前 スタッフ集合。
鍵を開けて、設営開始。
一番最初に目に飛び込んできたのは、華やかな七段飾りのお雛様。夜間中学の先生たちの生徒さん達への想いが伝わります。
さ、じっくり眺めるのは会場が整ってからにしましょ。
受付やお店やさんは、いつものところでいいかしら。

ホールの椅子では足りないから、会議室からも運ばなきゃ。

並べ方は、打花打火さんが来られて様子を見てからだから、とりあえずね。
びんちゃん、ステージ周りはお願いね。
卒業式の大看板を下ろすよ~、シバヤンも机に乗っての作業は危ないからくれぐれも気をつけて。
9時半前 打花打火の皆さんも全員集合。
「おはようございます。本日はよろしくお願いします」
横づけにした車からは、次々にいろんな太鼓が降ろされていきます。
ここからは、みんな黙々。
いつも思うことだけれど、誰に指示されるわけではなく、自分のやることを考えながら自然に動ける仲間がいるって、ほんとに素敵なことだと。
まのじさん渾身のステキなポスターも届き、会場は一気に華やかに。
小物係のKさんとUさんも、新作携えてやってきました。
にぎやかなお店が完成!
ステージが整ったところで、リハ開始。

スタッフは、邪魔にならないように、ロビー周りでゆったりと。
他愛もない話をしながら、モリヤン経由で知らされるWBC実況中継も気になるところ。
え!逆転されたの?

12時半 受付スタンバイ。

春の日差しを浴びながら、ニコニコ手を繋いで一番最初にやってきたのは、Oさんと孫のNちゃん。
「Nちゃん、お久しぶり!」
Nちゃんとは6月の本番以来会えてなかったから、9カ月ぶり。みんなに声をかけられて、ちょっぴり恥ずかしそう…
「この春1年生になるんです」
「わあ、おめでとう!ランドセル買った?」
「うん、黒色の」
すてき!女の子だから赤なんて縛りは、今はもうないんですね。思わずみんなでパチパチ。総会までは、ロビーでランチタイムね。
それから次々にみんながやってきて、あっちこっちで、懐かしそうにハグ!ハグ!ハグ!
ひとしきりご挨拶が済んだ後に、それぞれ席に荷物を置いたら、向かう先は小物やさん。席も条件反射のように、ソプラノ、アルトなど自然に分かれていくのがこれまでの積み重ねのようで、楽しいこと!
子どもたちは、子ども係のホープちゃんや本ちゃんを見つけると、そばに行って甘えます。本番の時に一番小さかった3歳のAちゃんは、「Aちゃんはね、4歳になった。今度5歳になって、学校行くの」と嬉しそうに本ちゃんに報告してくれたそうな。そっか、子どもたちにとっての1歳って、本当に誇り高いものなんですね。
ホールでは、待ってる間にみんなで歌おうと、シバヤンがギターでお出迎え。まずは「笑ったり、転んだり」。それから、かつてみんなで歌った「世界中の子どもたちが」や「友だちになるために」とか「ビリーブ」とか、いろんな曲が次々に出てきて、なんとも温かな空気に包まれていきました。
酒井さん、遠藤さん、フルートの嶺井さんも到着。お三方とも超お忙しいところ、わざわざ足を運んでくださって、本当にありがとうございます。

1時15分 お~い、集まれ~!
シバヤンの司会で「総会」が始まりました。
6月の本番を終えてから、怪我やら病気やら、家族のことやらと、いろいろ抱えたり、乗り越えたりしながら、今日を楽しみに集まったメンバーがワクワクした顔でシバヤンを見つめています。
まずは、くのいちさんの「会計報告」から。みんなが頑張ってチケット売ったり、小物作ったり買ったりしたおかげで無事に黒字になり、それを使って今日の打花打火さんたちをお招きできたことは、みんなでうんと誇り合いたいですね。報告は皆さんの拍手で無事に承認されました。

さ、時間が限られているけれど、何人かの方に話を聞いて見ましょうか。
去年はなんと、6月の本番、8月の蕨、浦和の演奏に加え、10月のコープみらい、12月の木下サーカステントと実に5回もぞうを歌った年になったのですが、まずはそのすべてに参加し歌ったSさん、お願いします。
「去年は、戦後80年と言うことで、節目の年に平和への想いを込めて全てに参加しようと思ったんです。歌えて本当に良かったと思っています」
次は、小物係でがんばってくださったお二人。川口から那須に引っ越したのに、何時間もかかって通い続けられたKさんは主に重たい陶器を持ってよっこらしょ。Uさんはきれいに仕上がった手芸の作品を携えて。お二人とも本当に楽しかったようで、またぞろ何か考えているような…ウフフ、楽しみですね!

子どもたちの中からは、M君に。M君もママと一緒に5回参加組。お兄ちゃん二人もいろんなところで大活躍してくれた3人兄弟の末っ子君です。
「やってて楽しかった?」
「うん、楽しかった。今は5年で今度6年になるけど、またやりたい」
ですって!
ジーン、うるっ…
さあ、ここらで今日わざわざ参加してくださった3人の方のご挨拶を聞きましょうか。
まずは、嶺井さんですね。
嶺井さんには、この春から酒井さんと更にお仕事でのつながりが濃くなるような素敵なお話をお聞きしていたので、その喜びを分かち合いたくて、皆さんにもそっとご紹介!
皆さんは自分の家族のことのように、とても喜んでくださり、ホールいっぱいに、「おめでとう」の拍手が響き渡りました。嶺井さんも大感激!
お次は遠藤さんの番です。
あれれ、遠藤さん、どうしました?
「ちょっと、右の膝が…」
まあ、膝やら腰やらのことは、年季の入ったたくさんの先輩がいますからね(笑)。いつでもお聞きください。
遠藤さんは、ご挨拶の中にも、「川口ぞう愛」がいっぱい感じられましたね。23年、25年とつながってきて、伴奏だけではなく、いろいろな知恵を貸してくださるようになり、もうすっかり川口ぞうのスタッフ仲間のように遠慮なくいろんなお話ができるようになりました。力不足で迷いも多い私たちに、行く先を照らすお話もしてくださり、そのことが優しいお人柄と相まってどれだけ安心感と励ましを与えてくださっていることか!これからも、どうぞよろしくお願いします。

大トリは、もちろん我らがマエストロ酒井さん。
次から次へと、これでもかというくらい休む間もなく仕事が降ってくる酒井さんですが、それでも時間を作って皆さんに会いに来てくださったこと。もう感謝しかありません。
本番から数えて3回、演奏が終わるたびに次の頂をめざす酒井さんにとって、同じ曲を短期間の間に連続して3回も演奏することのハードルの高さはいかばかりだったでしょうか。いつもは練習の録音は聴いても、本番の録音は聴いてこられなかったそうです。その酒井さんが、この連続演奏の録音を聴きながら、次の課題に挑戦し続けて下さった。諦めずに追求して下さった結果が、聴いてくださる方の心にしっかりと届いたのでしょうし、酒井さん自身も3つめの頂に辿り着いた幸せを感じたそうです。そして「もしも、更に高みをめざすとすれば、言葉の伝え方になるだろう」と次なる頂も指し示し、でもしばらくはこの幸せな気持ちを味わっていたいとの率直な思いも伝えてくださいました。

実は、酒井さんは体調を崩されて、この3月に予定されていた本番もキャンセルせざるを得なかったことについても話してくださったのです。今日も私たちが楽しみにしているだろうと、可能なら一曲振ってとも考えて下さっていたそうですが、スタッフへの心のこもった労いの言葉も含め、酒井さんに流れる川口ぞうへの想いを知り、胸がいっぱいになりました。

こんなにもいのちや平和が蔑ろにされる世の中です。
酒井さん!
私たちは、これからも「ぞう」を歌い続けていきたいと思っています。いささかくたびれた機関車のメンテナンスをしながら、遠藤さんや嶺井さんもご一緒に、大勢の子どもたちを乗せて次の頂を目指して客車を繋いでいけるように、慌てずに知恵をしぼって動いていきますよ~🚂
この場に集まってくださった皆さんも、おそらくは同じ想いだったのではないでしょうか。そんな風に前を見つめる柔らかな空気がホールを包み込んでいく中で、総会の幕は閉じました。
休憩中は、あちらこちらでお喋りに花が咲き、小物やさんも大賑わい。みんなほんとに楽しそう!
午後2時
シバヤンの呼び込みで、第2部「音楽のおもちゃ箱Ⅶ」スタートです。
ドアの入り口が開き、お祭りのお囃子のような賑やかな音と合わせて、打花打火のお二人が登場!衣装は、帯の芯地で作られたのでしょうか。なんとも華やかなドレスです。
客席の間を練り歩き、お客様にご挨拶しながらステージへ。客席もノリノリで応え、子どもたちの目は真ん丸に!

まずは自己紹介から。
篠笛・能管の山田路子さん、和太鼓の月村路子さん、あらまあ、お二人そろって同じ漢字の路子さん。
どちらもとてもポジティブなので、「みっちゃ~ん」と声をかけたら、自分の事だと思うんですって(笑)
「みっちゃ~ん、がんばって!」
実はね、打花打火さんにも皆さんにもご紹介し忘れちゃったんですけれど、客席の2列目にもうお一人路子さんがいたんですよ!団員の最高齢、96歳の路子さん!あ~あ、お伝えしておけばよかった。残念、残念💦

さあ、ピアノの田中さとこさんもそろって、いよいよ演奏開始です。
そこからは、解説とともに飛び出してくる音の一つひとつに、もうびっくり、うっとり、しっとり、にっこり、ワクワク、ドキドキ(あ~あ、語彙が足りない…)
篠笛、能管の多彩で繊細で深い和の音色と技巧には心底驚かされ、遊び心たっぷりで、体の奥底から突き上げるようなエネルギーに満ち溢れた和太鼓には終始圧倒され、そしてそのお二人に素敵なセンスで絡むピアノの音が、なんとまあお洒落なこと!
どの曲も私たちの体と心を大きく揺さぶる演奏の連続で、あっという間に時間が流れ、気がつくとプログラム最後の『全力Ⅱ』に突入していました。先にオリジナルで『全力疾走』という曲を作られていたそうですが、その第2弾となるこの曲は、本当にタイトルそのまま全力で私たちに迫り、駆け抜けていきました。

終わった後は、万雷の拍手がいつまでも鳴りやまず…
大興奮の客席に応えてくださって、アンコールが始まりました。
しっとりと優しく奏でられたのは『童神』そして『花』。どちらも沖縄で生まれた曲ですが、きっと「いのちと平和と子どもたち」を枕詞にぞうを歌い続けてきた私たちへのエールとして演奏してくださったのではないかと思わず目頭が熱くなりました。
本当にありがとうございました。ここでもしっかりと繋がりましたね。
改めてシバヤンに促され、再び大きな拍手が送られる中、打花打火の皆さんはお客様を見送るために会場を出てロビーへ。
この素晴らしい演奏にたくさんのエネルギーをもらったのは団員だけではありません。お誘いした夜間中学の教頭先生や生徒さん、団地に住む高齢者の方たちも、それはそれは楽しそうにお礼を言って帰られたのが印象的でした。
あ~あ、よかった!
この皆さんの笑顔が、これまでどれだけ釜焚きスタッフを励まして支えてくれたことでしょう。
だ・か・ら
同窓会が終わり、機関車は再び車庫に戻っていきますが、これからも「ここにきてよかった」そう思えるところでありたい、誰でもいつでも来たい時に来られる居場所になりたい、そんな思いでゆるゆるとでも線路を繋いでいければと考えています。
午後3時15分。後片付け開始。ここでも遠藤さんが大活躍!
片付け終わり、全ての点検をすませた後の打ち上げの一杯。いやあ、たまらなく美味しかったですねえ(笑)
山田路子さん、田中さとこさんもお疲れでだったしょうに、お付き合いいただき、いろんな思いを伝えあうことができた最高のひと時でした。
こんな風に楽しくて心豊かな同窓会をみんなで作れたこと、決して忘れませんよ~!
また、元気に会える日が来ることを楽しみに、
首も鼻も長くして、待ってるぞう🐘
Text by あのじ
Photo by ホープ、U子、しばやん、あのじ
再見!
10月5日
なんだかムシムシする朝…昨日の雨のせいかしら。
でもね。なんのこれしき、あれだけ暑かった時のことを思えば何てことないわ。
だって、ひと月半ぶりにみんなに会って歌えるもんね。
ということで、6月の本公演の際に助成金をいただいた「コープみらい」のフェスタ会場に向けて、くのいちさん、しばねさん、てらちゃん、ほんちゃん、あのじの5人の先発隊出発。
フェスタ会場はさいたま新都心のスーパーアリーナ。たくさんの出店や催しブースがあり、そこにはたくさんの人が集まるそうで、いつもの客席とは全く違うみたい。はてさて一体どんな演奏になるでしょう。祭りだもの、弾けちゃいましょうか。
主催者用のE3ゲートから入って、まずは出演団体受付を済ませ、「音合わせ」と書かれた102室楽屋へ。
あれれ、先客がいらっしゃる。そっか、共通の部屋になっているのね。
改めて、川口ぞうの利用時間を聞くと、13時からになってました。みんなが集まるのは12時45分。それから移動して始めるから、その時間でも大丈夫ね。じゃあ、ステージを確認に行きましょ。
と、フェスタ会場へ入ると、ひゃあ。
凄い人の波。なかなか前に進みません。
楽屋からの動線も頭に入れながら、掻き分け掻き分けやっとたどり着きました。
歌うのは60人くらいだから、当初は全員ステージには乗れず、指揮者と1列目くらいはステージの下になるかもと思っていたのですが、想定よりも舞台の奥行があるので、これならなんとか大丈夫そう。
安全に移動できるように、再度誘導担当の人とも確認しておきましょう。
11時半
スタッフ全員集合。モリヤンの車でキーボードが到着。
とりあえず、102に入れて、みんなが来るまでに腹ごしらえをしておきましょう。
ぺちゃくちゃ取り留めもない話をしているうちに、12時になりました。
さあて、早い人はもう来るかもということで、用意しておいた出演者証を持って、再び集合場所のE3ゲートへ。

12時5分
あ、やっぱり早い!もう一番乗りさんがやってきました😊
フェスタ会場へは、別のゲートから誰でも入れるので、そこを見てから逆流する人もいたり。
ホープちゃんと団長のひろ君は、ゲートからH実ちゃんを車いすでエスコート。3人の若者たちの会話は楽しそうに弾んでいます。そして、それを見守るひろママの眼差しもなんて温かなこと!
集合時刻5分前。残すはあと一人。携帯電話が鳴りだしました。
「あの~、入口が見つからないのです💦」
「改札出てアリーナに向かう橋のところから1階見てください。黄色いTシャツが見えると思います。そこがE3ゲートですよ」
「インフォメーションで聞いてみます」
12時45分
みんなが集まっているので、いったんまのじさんと交代して、102へ。
そこへ再び電話があって…
「すみませ~ん。埼玉スタジアムと間違えてました!もう間に合わないと思うので、諦めます…」
あちゃあ。何か方法はないかしら。
気にかかりながらも、もう全員集まっているので、練習開始のご挨拶しなくちゃ。
みんなが並べるように、椅子を引いて、机を少し移動して…と。
他の団体の方の荷物があるから、気をつけてね。
よし、これで準備完了。

「お久しぶりです。1か月半ぶりですね。お元気でしたか。来て下さりありがとうございました。何人か体調崩された方もいますが、今日は60人で歌います。子どもたちもありがとう!」
集まった大人たちから子どもたちへ、大きな拍手がわき起こりました。もうすっかり仲間になりましたね。今日は子どもたちは全部で10人。なんと本番の時の子どもたちの比率より、高いじゃありませんか!
Fちゃんのママが言ってました。
「本当は別の用事があったんです。でもね、ぞうは自分が行かなければといって、フェスタを優先したんですよ。だから今日はパパに送迎を任せて送り出します」
少し前にその話を聞いた時は、言葉にならず、ぽろぽろ涙がこぼれてくるのを止められませんでした。
「フェスタの会場は、すごい人ですから、みんな移動中に迷子にならないように、ちゃんと言うこと聞いてくださいね」
「はあい」
あらあら、子どもたちはいいけれど、大人たちは大丈夫かしら。じゃあもう一度。
「ちゃんと言うこときいてくださいね!」
「はああああい!」
あ、今度は大きな声だ。よし、大丈夫ね(笑)
「歌う曲は、1、4,9、10、11番。指揮はモリヤン、伴奏遠藤さん、そしてMCはシバやんで曲をつなぎます。じゃあ、モリヤンよろしくお願いします」
「皆さんこんにちは。前回の教育のつどい、本当にお疲れさまでした。すばらしい反響でした。感想はこれから内部資料としてお読みいただくことになると思いますが、あっちにもこっちにも感動したと書かれていて、その多さに逆にこちらが感動してしまいました。本当にありがとうございました。それでは今日は、3回めの演奏ということで、よろしくお願いします…」
(違う違う、モリヤン、4回目ですよ~)
「あ、間違えました。4回目です(笑) 僕は、今日は園長兼指揮ということで、スマイリー小原になります。あ、スマイリー小原、ご存じない方いますかね?」
あ~ら、生きてきた年数がしっかりとわかりますね。知っているのに手を挙げない人もいましたけどねえ(笑)

「一度、曲をさらってから、全体を流してみましょう。まずは1番。前にも言いましたけれど、指揮者の棒のどこに合わせて歌うんでしたっけ?振り上げたときじゃありませんよ、ちゃんと降りたときに。そこを気をつけて揃えてくださいね。あ、その前に子どもたち、サーカスだからだ。やってみようか」
♪サーカスだ、サーカスだ、サーカスがやってきたぞう
「いいですねえ。その調子で」

遠藤さんのキーボードの音にも慣れ、みんな、ぞうを歌う顔になってきました!
団長も乗ってきました!


1番から4番、そして9番の前は、議長のFちゃんのセリフが入って、全体がきりっと締まり、少しずつ触りながら10番、11番へ。

ここで、ちょっと休憩しましょう。
あ、時計を見ると13時35分。もう移動開始の45分になってしまうことに気づいたモリヤン。
「練習時間はとれないですね。流れは本番ぶっつけで行くことにして、後はポイントだけ確認します。そのまま休憩していてください」
みんなが休憩している間に、動線再確認しながら、キーボード運んでしまいましょう。男声陣、がんばって!
男声陣が戻ってきたら、すでに移動時間になっていました。
さ、ステージ裏まで行きますよ。子どもたちが最初に出ます。大人も遅れないで、でも慌てないでついてきて下さいね。
みんなを送り出し、一番最後にステージ袖まできました。
すると、まあ。
「あのじさん、びっくりですよ~」
とホープちゃん。
なんと、一つ前のプログラムの出演者の中に、以前議長をやったという子がいるというじゃありませんか!
え、ほんと?
すると、着ぐるみを着た女の子が、「こんにちは」とご挨拶してくれました。
「Kです。おぼえていらっしゃいますか?」
「あらまあ、覚えてますとも。K、Mちゃんですね」
「今27歳になりました。今日は弟もいるんです」
そうでしたか。弟君はまだ小さかった時でしたね。思い起こしてみると、ホープちゃんの次に議長をやったんじゃないかしら。すっかり娘さんになっていましたが、お顔をみると当時の面影がしっかり残っています。
本当に奇遇です。じゃあ、新旧議長3人そろって記念の一枚を!
ということで、U子さんがパチリ。みんな素敵な笑顔です。

細長く並んで待機しているみんなもニコニコ嬉しそう。
着替え終わった団長も仲間入りですね。

ほら、遠藤さんのネクタイ、ステキですよ、みんな見て!
いとこのイギリス土産だそうな。
「これ、弾くと音が出るんですよ」と言ったら、ほんとに音が出ると思った人もいて、なんとも和みました。

そんな和やかな空気が、モリヤンの突然の一言で、一気に緊張が走りました。
「あれ?シバヤンがいない💦」
電話をかけるやら、控室まで見に行く人やらで大騒ぎ…
14時
もう時間がありません。
いよいよ覚悟を決めてステージに上がろうとしたところ、
「あ、いた~」
みんなステージの上手(かみて)のところにいたのですが、なんと、シバヤンは下手(しもて)のところに待機していたのです。キーボードを下手に運んだからですね、きっと。ああ、よかった~。
浦和一女のアナウンス部による合唱団の紹介が始まりました。
上手の騒ぎを知ってか知らでか(笑)、シバヤンは明るく軽快に、
「こんにちは~」
あららららら、ちょいと反応薄いですね。
では、私たちも一緒に、
「こんにちは~」
大きなフェスタ会場の一画だから、仕方ないのかもしれません。かなり以前にはこんな形でお座敷がかかったこともありましたが、ここしばらくはホールの中できちんと座席に着いたお客様の前でしか歌ってきませんでしたからね。でも、戦後80年ということで是非にと歌ってほしいとお願いされた企画です。私たちの想いは、どこで誰に向かって歌おうとも、これまでと少しも変わりませんね。
リラックスした中に緊張感を保って、子どもたちの声が響いてきました。酒井さんに教わったことがしっかり感じられるいい出だしです!
4番の後は、しばやんの語りでつながって、8番の最後まで進みました。
「それでは、今決めたように、名古屋の東山動物園の園長さんのところに行って、ぞうを貸してくれるようお願いしましょう」
「さんせい、さんせい、さんせ~い!」
きっぱりと真っすぐに決意を伝える議長に呼応するかのように、自分たちの想いを伝える子どもたち。すばらしい出来でした!
9番、「ぞうをかしてください」と願う子どもたちに園長がソロで応える大切な場面です。モリヤンは指揮棒を持ちながら、くるりと振り返り、客席に向かって歌っていきます。大人は酒井さんに教わったハミングでしっかりと園長を支えて…。
一生懸命歌っていると、なんと客席で遠慮深そうに、でも心を込めて一緒に歌っている人の姿が見えました。
あらまあ、あれは間違えてスタジアムに行ってしまった💛さんじゃないですか!
よかった。ステージには乗れなかったけれど、会場で一緒につながって歌えたんですね。ほんとに心がホカホカしてきました。
わ~い!
子どもたちの歓声とともに、無事に演奏は終了しました。
たくさんの拍手が聞こえる中、最後にシバヤンは、マイクを通して会場中のお客様に川口ぞうの想いが伝わるようにと、心を込めてこのように結びました。
「今世界中で争いや殺戮が続き、分断の嵐が吹き荒れています。そんな中私たちは、戦争の悲惨さを伝え、命の大切さと生きる希望を歌い続けてきました。それでも一日でも早くこの歌が背負ってきた役割を終える日が来ることを願っています」
「聴いていただきありがとうございました」とご挨拶をしてステージを降りようとしたら、💛さんがステージに上ってきました。
「一緒に歌えてよかったですねえ」と思わずハグ。
「はい、ほんとに」その笑顔がすべてを物語っていました。
みんな一様に歌い終えてホッとした表情で、102室に戻ってきました。
「お疲れさまでした!これで、2025川口ぞうとして単独で歌うのは最後ですが、戦後80年のこの年に、皆さんとご一緒にこうやって4回も歌えて、本当に幸せでした」
あちこちで、うんうんと、頷く姿が…
きっと同じ気持ちでいてくださったのですね。

本当は、参加した一人ひとりにお話してもらいたかったのですが、早く出なければならないとのことで、ここはモリヤンに託して。
「お疲れさまでした。いやあ、皆さん本当に本番に強いですねえ。本番に弱いのは僕だけです(笑)」
あちこちで笑いが起こります。さあて、なんの笑いだったのでしょうね(笑)
締めようとしたら、ここでホープちゃんが手を挙げて…
「セリフのところ、あんなに必死に合図してたのに……」
みんな吹き出しました。
いや、ホープちゃん。ハラハラドキドキ、娘として言いたいことはいっぱいあって、親子のバトルを聞くのも楽しいけれど、時間も迫っているので、ひとまずこの続きは、お家でやりましょうね(笑)。
一番最後は遠藤さん。
もうすっかりお仲間です。今回のようなフェスタ会場でキーボードでの伴奏というのは貴重な経験だったようです。
「お疲れさまでした。4回も本番を重ねられ、本当に楽しかったです。またお目にかかりたいと思います」

本当にありがとうございました。遠藤さんのファンもいっぱいできましたからね~。
さあ、川口ぞうは、これからどこに向かってレールを敷いていくのでしょう。
祭りも終わり、次にみんなに会えるのは、3月15日同窓会の日。
打花打火さんも酒井さんも遠藤さんもやってきますよ!
いろんなものが流行っているけれど、どうか体調を崩すことなく、元気なお顔を見せてくださいね。
スタッフも、エネルギー貯めてがんばる🐘
ほいたらね!再見!
Text by あのじ
Photo by くのいち、ホープ、けーちゃん、U子、あのじ
2025型式川口ぞうれっしゃ、山坂越えてただいま到着!
8月17日
埼玉は朝からカンカン照り。列島各地、想像を絶する豪雨に押しつぶされ、雨が上がっても暑い日差しに照らされる中、被災された皆さんはどう過ごされているのか…
今日は、蕨市の平和都市宣言記念事業に続き、本番と同じ埼玉会館で開かれる全日本教職員組合の「教育のつどい」で歌います。全国から先生たちが集まるとのことで、開会前の現地企画として設けられたとのこと。
時間の関係で、30分バージョンに短縮しましたが、果たして参加されている先生たちに私たちの想いは伝わるでしょうか。
8時15分
「どんな考えの人とも、この歌でつながれるといいね」
くのいち、柴ね、あのじの麗しき先発隊3人組は、そんなことを話しながら浦和駅から埼玉会館に歩き出しびっくり。
何?この物々しさは…
コルソを通り抜け、いつもはすいっと会館まで行ける道が柵で塞がれて、たくさんの警察官の人が立っています。
仕方がないので、ニコニコと「すいませ~ん。今日この埼玉会館で出演するものです。通りま~す」と大きな声でご挨拶して入れていただいたけれど、正面入り口に入るまでの道もずっと塞がれていて、すぐにはいけません。
結果的には、誰もが正面入り口に入る道の柵にかけられた、2mほどのポールのところから入らなければならないようです。
まさか、これほどまでの警戒態勢とは…
これは、事前にしばやんから説明を受けていたとはいえ、みんなびっくりするに違いありません。
もう、こうなったら、わが川口ぞうは、ポールのところに立って、明るく元気よく団員さんをお迎えするしかないですね。くのいちさんは受付設営することとし、あのじと柴ねさんで担いましょう。
「なんだかねえ」とか軽口叩きながら立っていたら、早くも第一陣到着。Kさん親子とIさんご夫妻。
Iさんは、蕨の時も平台助っ人に入ってくれましたが、今日は音響搬入助っ人組のメンバーです。
K さん親子は、パパと長男、次男3人揃って。初参加の時は、長男のY君が2歳、二男のM君が0歳。その後もコンサートの度に三男、四男と家族が増え、本番ではパパママが抱っこにおんぶと大奮闘。子どもたちは抱っこされたり背負われていても、本番中は一度も泣いたことはありませんでした。四兄弟は川口ぞうのシンボルとずっと言われ続けてきましたが、今や立派な青年に成長。

四兄弟にまつわるいろんなことを思い出していたら、助っ人第2陣到着。今や助っ人の代名詞のようになったS君とパパ。みんな揃ったので、音響の大園さんとご挨拶。
9時過ぎから、集合時間厳守をきっちり果たそうと、続々やってきます。入り口が分からずウロウロする人も。
「こっちですよう」と呼びかるとホッとした表情が覗きました。
来る人、来る人、いつもならニコニコ顔ですが、一様に「聞いていたからそうかと思ったけれど、びっくりしました!」
そうですよね。一体何のために誰を守る柵なんでしょうか…。
途中から会館内部の動線確認に行った柴ねさんに代わり、Wちゃんが立って。
酒井さんも伴奏陣も無事到着。
9時半
未着の2人はWちゃんに確認を頼んで、みんなが待ってる会館内へ。
はあい、集まれ~!
みんな、元気そう。歌いたくてうずうずしているのが伝わっています。


話し始めると伝令のひろ君が、「もう板につけますよ」とやってきました。
「今日はよろしくお願いします。これから荷物を持ってソプラノさんから移動します。荷物は反響板の陰に置いて、飲み物だけ持ってステージへ上がります」
本番、蕨と、これまで移動は何回もやってますから、みんな、もう慣れたもの。Sママを先頭に順序良く移動していきます。最後に子ども係の本ちゃんと3人の「ことな組」のお姉さんたちに率いられ、子どもたちが所定の位置につきました。

酒井さん、お願いします。
「今日はこれまでと違ったバージョンですが、最初に気になる所をさらって、その後に通します」
まずは、6番から歌うのですが、1番から5番までの内容を簡潔に伝えるために、緞帳の前で園長が語り、緞帳があがってから、軍人と猟友会が絡んでくる、モリヤンはそんな演出を考えました。

背景は最初から戦争を意識した赤色に染まります。
6月の本番とは違い簡易バージョンで。
子どもたち、いつもは明るいステージで「サーカスだ、サーカスだ!」と元気よく始まるのに、今日は歌わずに大人の場面から。やったことないけれど、大丈夫でしょうか。
何しろ、リハーサルとしてここで確認調整できる時間は、わずか1時間15分のみ。30分バージョンといえども、初めてこの曲に出会う観客もいる中で、より理解を深められ、良い演奏を届けたいとの酒井さんの強い想いは、園長や軍人のきっかけ、立ち位置への指摘にも現れています。
客席から見ていると、やはり子どもたちの動きが気になりました。元々、6番7番は座っている場面ですから、子どもたちの落ち着きを考えると、座ったままで緞帳があがった方がよいように思えました。酒井さんに打診すると、それでいいとのこと。子どもたちは静かに腰を下ろしました。
7番、
最後の園長ソロにコーラスが被るところ、今日も園長のソロを際立たせるためのハミングの位置に微修正が入りました。
予め、「短時間の練習になります、集中して下さい」とお願いしていましたが、これまで以上の集中力で、しっかりと食いついていくのがわかります。
8番
子どもたちの出番です。今日は、お盆で来られない子達もいるので、誰かにその代役を頼まなければならなかったのですが、T君とAちゃんは、しっかりと引き受けてくれました。
議長のFちゃん、今日もきりっとかっこよく、ソロのYちゃんも、「これまでの中で一番よかった」と酒井さんに誉められ、はにかみながらも嬉しそう。
今や大きい子どもたちは「自分たちがぞうを担うんだ」という自覚ができあがっていてどんな指示にも動じません。なんだか泣けてきます。
9番
♪平和な日々がきて~
どこに向かって声を飛ばしていくのか…
一度経験したステージです。酒井さんが言わずとも、みんなそこに向かって声を届けようとがんばります。
客席にいたので、はっきりとは聞きとれなかったのですが、酒井さんは全員に
「今日は、全国から先生たちが集まられるということです。もしかすると演奏開始までには間に合わず、演奏中にドアを開けて何人も入って来られるような落ち着かない状況かもしれません。であれば逆に私たちは集中して、ドアを開けた途端に、ああもっと早く来ればよかった、初めから聴きたかったと思えるような、そんな演奏をして客席を圧倒しようじゃありませんか」
と語りかけているようでした。
それを聞いて、「よし、がんばろう」と、大きく頷くたくさんの笑顔が見えました。
「はい、じゃあ少し休憩しましょう。10番と11番は心配していませんから。水分を取れるようなら、取ってください。休憩後、時間の関係で最後まで通せないかもしれませんが、通せるところまでやってみます」
5分後、緞帳が降りて、リハ再開。
通しが始まりました。音響、照明入れて、すべて本番仕様。
ここで一度しか確認できないことも多くあります。
誰もが酒井さんのタクトに合わせ、酒井さんの顔を見て、ものすごい集中力で歌っています。
酒井さんの指揮で本番を歌うのは、今日で3回目。もっともっとこの至福の時間が長く続いて欲しい。誰もがそう思いながら歌ったに違いありません。
偶然にも、昨日朝日新聞ウェブから、原作者の小出先生の想いの詰まったインタビュー記事が配信され、団員のUさんのご厚意で、皆さんにプレゼント配信できたことで、よりこの作品への理解が深まったことも演奏を高めるのに役立ったのかもしれません。
この日を迎えるまで、台本の大幅練り直しから始まり、直近1週間は大わらわ。一体どれだけの検討を重ねたことか。でも、こんな形にして本当によかった。時間も大丈夫。この輝いている子どもたちを、全国の先生にみてもらうことができると、文字通り胸が弾み、ワクワクしてきました。
11時15分
主催者との約束の時間です。わ~いの歓声でぴたりとリハーサルが終わりました。
さあ、お昼を食べて、しっかり休んで、本番にむかっていきますよ。
楽屋は、6月の本番の時と同じお部屋。みんな落ち着いて向かって行きました。
酒井さんの寄稿された記事が掲載された「うたごえ新聞」も楽屋で待っています。本番を聴いてくださった藤村さんを通じて、うたごえ新聞社から「ぜひお読みください」とたくさん送っていただきました。休憩中に楽しみに読んでくださいね。

12時
ソプラノから順にアルト、男声と、本番前の声出しが始まりました。遠藤さんが最も大切にしている発声の基本を改めて確認していきます。
自分たちが主催する公演本番の時は、いつも最後の発声の時間はお客様をお迎えするために表で走り回っているスタッフは、初めて発声に参加でき、感激!


13時
さあ、いよいよ本番です。
緞帳前のモリヤンの語りから始まりました。
緞帳があがり軍人と猟友会が出てきます。
合唱スタンバイ。
♪動物園に銃声が響く~~
これまで以上に緊張感のあるいい声が響きます。
曲が進むにつれて、客席は集中し、その温度がどんどん高まってくるのが感じられます。もしかすると開会式前で、出たり入ったりと落ち着いて聴いてもらえないかもしない、そういった懸念が吹っ飛んでいきました。酒井さんも今まで見たことのない表情で訴えかけ、それに応えようとする団員の声が熱を帯びてきます。
ラストの11番。
酒井さん、遠藤さん、嶺井さん、眞塩さんとご一緒に乗り込んで、創りあげてきた「2025型式川口ぞうれっしゃ」、多くの想いをつなぎ、いよいよこれが歌い納めです。
わ~~~~~~~~い!
子どもたちの未来を拓く明るい歓声に、客席からは割れんばかりの共感の拍手がわき起こりました。
ステージの私たちも大きく手を振る中、静かに幕は下りていきました。
やりました!
6月の本公演から2ヶ月足らず、これまで経験したことのない3連続公演で、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と、馴れを排しより高みをめざす酒井さんの要求に応え、歌声は回を重ねる度に深みを増してきました。
練習開始から9ヶ月、いろいろな課題が発生してはみんなで乗り越えてきました。何よりも、子どもたちの歌声が、がんばりが、へこたれそうになる大人の背中をしっかりと押してくれました。
さまざまなことが脳裡を駆け巡っていきます。
思い起こせば1年前の6月、会場抽選に外れてしまい、どうしたらいいのかと重い足取りで帰途についたこと。7月は酒井さんの可能な日程が1日しかなく、抽選に臨んだとしても当たる確率はほぼゼロと諦めかけていたところに、奇跡的にキャンセルが出たとの知らせが入り…しかもその日は酒井さんがベストと言われていた6月22日と聞いた時は、スタッフ一同狂喜乱舞。
しかし、まさかその時は、1年後の8月にこんな形で3回も歌い上げることになるとは思いも寄りませんでした。
酒井さんを信じて歌い終えた誇りを胸に、熱い空気をまといながらも、アルトを先頭に速やかにステージを降り、ホワイエへ。
そのまま残り、緞帳前で主催者からのインタビューを受けていたモリヤンとあのじがインタビューを終えホワイエに駆け付けると、解散式は終わりに近づいていました。酒井さんが皆さんに何か語り掛けていたようです。聞けなくて残念でしたが、一人ひとりの表情を見ていると、誰もが一緒に歌えた歓びと名残を惜しんでいるのが伝わってきました。

![]()
あ、遠藤さんが間に合いました。一言お願いします。
遠藤さんは優しい目をして、「もっとやりたかった」と。

「皆さん、本当におつかれさまでした!この後の安田菜津紀さんの講演を聞かれる方はこの場に残って下さい。またお会いしましょう」
子どもたちは、振り返り振り返り帰っていきます。
解散式が短い時間しかとれず、残念ながら間に合わなかった嶺井さんと眞塩さんには、スタッフが楽屋廊下でご挨拶。改めて心のこもった素敵なメッセージをいただきました。お二人とも、もうすっかり川口ぞうの仲間になりましたね💛

これから後は、あちこち傷んだ機関車は車庫で整備をし、いったん軽い車体に切り替えて、これもまた戦後80年ということでお招きをいただいた10月5日のコープみらいフェスタに向け、もう少し走っていきます。12月20日立川の木下サーカス会場で、藤村さん指揮、1番と10番を歌う企画もあります。
これまでとは全く異なる演奏になりますが、改めてお知らせしますから、楽しみに待っててくださいね。
みなさん、どうか元気にすごしてくださいね。
Text by あのじ
Photo by くのいち、ホープ、けーちゃん、あのじ
【追記】
演奏終了後、こんなことがあったと、心熱くなるメールをいただきました。
全く知らないことでしたので、皆さんにもぜひお伝えしたく、そのまま転記します💛
当日のことで、どなたかからお聞きになっているかもしれませんが、もう一つ感動したことがありました。歌い終わって、反響板裏に置いた自分の荷物を取り、明るい廊下に出るところで、団員ひとりひとりに「ありがとうございました」と声をかけている方がいて(声だけ聞こえ)、主催者のどなたかが御礼を言われているのだとばかり思ったら、酒井さんでした。御礼を言いたいのは私たちなのに。やはり酒井さんって、こういう方なのだと、あらためて。酒井さん、お疲れになっているはずなのに。
別の方からも更に💛
酒井さん、一人ひとりに握手してましたよ~。
お里帰りだ!かんぱ~い‼
8月2日
何日も前から、天気予報を聞いては天を仰ぎ…
(どうか、台風が直撃しませんように!)
(大丈夫、ぞうには天の神様に愛された「晴れ女」がいるもの…)
6時 わあい、雨がやんでる!やっぱり、持ってたぞう~~!
8時半 晴れたはいいけれど、すごい蒸し暑さの中、搬入口に平台助っ人隊集合。
今日の平和コンサートは、35年前に川口ぞう誕生のきっかけを作ってくれた平和都市宣言記念事業での演奏ということで、いわば川口ぞうにとってもお里帰りのような💛
蕨市の主催で、本来川口ぞうはゲストの立場ですが、少しでも早くステージが整うようにと平台助っ人を引き受けた次第。
はい、本番前の酒井さんの練習時間をきっちりと確保するためなら、なんだってやります。手を挙げてくれた精鋭部隊は、軍手持って参上。
仕切る中央舞台さんの指示にしたがい、黙々と作業を進める側では、ピアノの調律がすでに始まっていました。
9時 集会所設営組も集合。
まずはスタッフ腕章付けて、作業開始。
受付は、部屋の外に出しましょう。
いすはどう並べましょうか?
声出しするから、ピアノに向かって並べた方がいいね。
子どもたちの控室になる会議室や、預かりチケットお渡し所も確認しなくては…
皆さんに渡すDVDセットがシバやん車で到着しました。

そんな中の団員一番乗りはSさん。
今日は蕨の「機まつり」のため会館には車が置けないということで、遠くからいくつも電車を乗り継いでやってきたそうです。
「何かお手伝いありますか」
ありがとうございます。暑い中、本当にお疲れ様、まずは少し息を整えてくださいな。
演奏後に予定している団員打ち上げのセッティングや楽屋へのお弁当届けをお願いしたKさんもニコニコやってきました。
「おはようございます」
「ありがとうございます。本当に助かります。よろしく~」
Kさんは、お菓子や飲み物の買い出し、飲み物の冷やし込み、すべて前日までに整えてくれています。すぐに楽屋の確認から開始。
Kさんの手足となって動くのは、本番の日に裏方で大活躍してくれたS君。今日もすでに平台組みから手伝ってくれています。
「打上げテーブルのセッティングは、昼食休憩の時に皆さんにも少し手伝ってもらいましょう。椅子は周りにぐるりでいいですね。その形で本番前の声出しやることにしましょう」
すっかり受付も整う中、機まつりの華やかな飾りつけられた蕨銀座を通りぬけ、蒸し暑さで真っ赤な顔をした団員さんが続々と到着。
10時
「おはようございます。暑い中、ようこそ」
最初に今日一日のスケジュールを確認し、声出し開始。
声出しは、遠藤さんにお願いしました。
遠藤さんは、ご自分も本番前の心と体調を整えなければいけない一番大変な時間ですが、少しでもいい形で酒井さんの練習に入って行けるようにと引き受けてくださいました。こういう温かなお心遣いにみんなが惹かれるのですね。
本当にありがとうございます。
遠藤さんに教わって、みんな喉が開けられたかな?


10時20分
アルトからステージに移動開始。男声、ソプラノが続き、子どもたちも並びました。移動は無事に済み、少し列を整えます。ほらほら、男声陣、本番の時と同じ、もう少し詰めて下さ~い。
10時半
並び終え、酒井さん登場。
「皆さん、よろしくお願いします。まずは、子どもたちは客席に降りて、大人の練習から始めましょう」
5番
「落ちたらのところ、一音一音しっかりと」
園長の立ち位置は、真ん中よりに変更。もりやん、場ミリのテープを自分で貼り変えます。
7番
♪平和な日々がきて~
「皆さん、後ろの非常口の緑のランプが見えますか。最低あそこまで、できればあの音響ブースの窓に届くように!」
「おまたせ~。子どもたち、上がっておいで」
子どもと一緒に11番
「わ~い、ぞうだ。頼んだよ~」
「あの窓を突き破るつもりでね」と寺ちゃん。
いいですね。子どもたちの元気な声がしっかり窓まで届きました。
「5分休憩しましょう。その後通します」
全員が足下に置いた水筒に手を伸ばします。はい、脱水にならないようにしっかり水分とって。
休憩終了
「では、通します。これまで何回も言ってきましたが を(wo)、冬の ふ(fu)意識してください。子どもたち、サーカスだ、頼むよ」
いったん緞帳が下がり、ピアノの音とともに再び上がってきました。
いいぞう。子どもたち。その調子で本番も頑張ってね。
3番を歌っている頃、手話通訳の方お二人が舞台袖に来られました。蕨市の催しでは必ず手話通訳の方がつくそうですが、川口ぞうは、これまでの演奏では一度も経験したことがありません。事前に歌詞をお渡ししていましたが、果たしてどんなふうに表現されるのでしょうか。
曲ごとに交代し、小さく手話を入れながら確認されている様子が印象的でした。

通し終わりました。
「ソプラノさん、♪娘たちは寒さを忘れのところ、とてもよかったです。予定通りアルトを入れず、ソプラノさんだけで行きましょう」
直前まで足掻いて足掻いて、少しでもよい演奏をと高みをめざして進む酒井さん。
そんな酒井さんを信頼し、必死についてきた私たち。練習開始から9か月の間に培われたものは言葉では表現しきれず、舞台の端に立って歌声を聴きながら、胸の奥深く熱いものが流れていきました。
12時半
集会室に戻って、昼食休憩です。昼食を食べ終えた方はDVD渡しますよ~!
13時45分までは、お知り合いとの歓談もできますからね。
子どもたちは別室へ。
最初はこんな感じで過ごしていたようですが…
あらまあ、こんなに暑いのに外に飛び出し、鬼ごっこを始めたじゃありませんか!
そんな子どもたちを、寛ぎながら集会室の窓から優しい眼差しで見つめる大人たち。まるで、借景のようでしたね。
さ、そろそろ休憩時間が終わります。
あ、すみません。少し打上げの準備ができるように、椅子と机を移動させます。お手伝いお願いしま~す。
13時45分
声出しに現れた遠藤さん。会場の設営が変わっていて少々驚いた様子。
そうですよね。お菓子やお茶を前にやるんですから(笑)
さあ、皆さん立って、遠藤さんのところに向かって声出ししましょう。
楽屋廊下では、団長と少女の二人が、こんなポーズでリラックス。
14時15分。
声出し終了。第一部が終わってお客様が出てくる前に、新しくできた「自慢のトイレ」に行って、呼吸を整えて下さいね。
持ち物は全てこの部屋に置いて。名札は外しましたか?
みんな揃ったところで、アルトからステージへ。
14時40分
第2部開始。
酒井さんのタクトとともに、ピアノが鳴り、緞帳が上がっていきました。
子どもたちの第一声
「サーカスだ、サーカスだ、サーカスがやってきたぞ!」
それを聞いた途端、一番前のお客様のお一人がハンカチを持って目頭を押さえる姿が目に入りました。
すごい!
私たちの関係者席としていただいていたのは前から5列。抽選でたくさんの人が落選したと聞き、一席も無駄にはすまいと、文字通り本番直前まで調整していましたから、お客様の想いはより深かったのかもしれません。
♪わ~~~~~~~~~いっ!
歌い終わるや否や、万雷の拍手がわき起こりました。
蕨市から届いたお礼のメールにもそのことがしっかりと記されていました。
「演奏終わりの会場には割れんばかりの拍手が巻き起こっており、蕨市民会館では聞いたことないほどでした」
続くアンコール。
私たちが主催者ではなく、時間のことやら何やらいろいろ主催者の判断がもとめられる場面でしたので、あの瞬間まで、どんな形になるか、全くわかりませんでしたが、カーテンコールにつづき、酒井さんは…
6月の本番と同じように客席の熱い想いをしっかりと受け止められたのでしょう。
会場一体となって歌い上げ、藤村さんからもスタンダードになればと言っていただいた「川口方式」が、ここでも再現され、多くの方々の心を揺り動かしたようです。
再び、蕨市からのメール
「アンコールも盛大に行っていただき、多くの人の特別な思い出になったと思います」
こうやって無事に、平和都市宣言40周年記念の演奏を終え、緞帳は熱をはらみながらも静かに降りていきました。
「お疲れさまでした。それでは集会室に戻り、打ち上げとしましょう」
「私たち、残ってバラシやるんですよね」
Iさんが声をかけてくれました。すっかり頭から離れていました。
Iさんと息子のK君、歌う時には軍手をポケットに入れて、すぐに作業できるようにと準備して下さっていたのです。
「ありがとうございます。平台組みメンバーは、バラシやりますから、そのまま残ってください」
15時45分
戻ってくると、KさんとS君の奮闘で、しっかり打上げの設営が終わっていました。
16時
皆さん、席について待っています。どのお顔にも歌い終わった後の溢れる想いがくっきりと浮かんでいます…
まだ酒井さんや遠藤さんの姿が見えませんが、子どもたちも待っていますから、まずは乾杯の練習から始めましょう。
さあ、手に飲み物持って。

「お疲れさまでした。かんぱ~い!」
子どもたち、お菓子の周りに集まっています。
「ほら、みんなすごくがんばったんだもの。今日は遠慮しないで、いっぱい食べてね」
「はあい!」
遠藤さんの姿が見えました。
「さあ、2回目の乾杯です。遠藤さん、先に乾杯の練習しておきましたよ~」
「練習は、大事です~(笑)」と軽妙に受けてくれた遠藤さん。さすが!
「かんぱ~い!」

「誰か酒井さん呼んできて~!」
「酒井さん、こっちに向かう間、あちこちで捕まってましたよ~」
「ここから姿が見えないんですけど~」
さもありなん、蕨市出身の酒井さん、初めての地元演奏で、会場中を魅了していましたからね。市長をはじめ、どれだけの方からお声がけがあったことでしょうか。
そうこうしているうちに、指揮の姿のままの酒井さんが現れました。
「酒井さ~ん、待ってました。じゃあ、みなさん、いよいよ乾杯の本番です。練習の成果をしっかりと見せてくださいね。かんぱ~い」
ほら、見て!乾杯をするみんなのこの晴れやかな歓びに包まれた顔・顔・顔…
「遅くなってごめんなさい。お疲れさまでした」
と酒井さんは、たくさんの人とカップを合わせていきます。遠くの人はうらやましそう(笑)

少し落ち着いたところで、じゃあ何人か感想を聞きましょうか。
「まずは、議長のFちゃん、お願いします」
Fちゃん、恥ずかしそう。じゃあ、一緒にセリフをやったAちゃんとY月ちゃんも出てくださいな。
「今日はどうでしたか」
3人とも、照れちゃって…
それでは、質問を変えましょう(笑)
「Fちゃんは、何歳からぞうをやってますか」
「2歳のときから」
みんな、まあ~~。
「Aちゃんは?」
「私は、5歳のとき。おばあちゃんと一緒に」
はい、FちゃんもAちゃんも本当に小さい時からぞうを歌い、今ではすっかり「象の子」になりましたね。そんな二人の初めての頃のエピソードも少しご紹介(笑)
もう一人のY月ちゃんは、今回初参加。
「誰に誘われましたか?」
「お姉ちゃん」
では、お姉ちゃんのMちゃんに聞きましょ。
「Mちゃんは誰に誘われたの?」
「Y君」
Y君、「はあい」と手を挙げて、
「僕の保育園の友達。0歳からの知り合いだよ。Mちゃんは歌が好きだと言ってたから、歌うかなと思って」
まあ、そうでしたか!
なかなか人と繋がれない時代に、こんな風に人から人へ繋がって広がっていったんですね。
本当に嬉しい報告でした。

では、今度は伴奏のお二人とソロのかれんちゃんに話してもらいましょう。3人とも次の予定が控えている中、ここまで残ってくれました。
かれんちゃん、クラリネットの眞塩さん、フルートの嶺井さん、本当に素晴らしい演奏でしたが、順々に今回再び関わる中で感じたことを、それぞれの素敵な言葉で伝えてくださり、若い3人への感謝とこれからもよろしくの想いを込めて、みんなで大きな拍手を送りました。
そこへモリヤンがスーツケースを引いてやってきました。
「酒井さんも蕨出身ということで、ロビーでたくさんの人に囲まれていましたが、実は僕も蕨出身で…。酒井さんは少年合唱団時代に知り合い、遠藤さんとは今も一緒にやってます。音響やってくれた大園君も同じ蕨の合唱団つながりで。これから中学校の同窓会なんで、お先に失礼します」
なんとまあ、今回は指揮、伴奏、ソロ、音響に加え、今も女声合唱団で歌っているホープちゃん、Wちゃんと、蕨の合唱団つながりが随分そろったんですね。
実は、今回参加者のソプラノOさんからもこんなメールをいただきました。
「私も蕨で育ち、小中学生のときは蕨の合唱団に入っていました
今日は子供の頃に立った懐かしい市民会館で歌えてとてもうれしかったです!」
それじゃあ、感想も蕨つながりでいくとしますか。
ということで、初めて参加し、お連れ合いや友達も誘ったIさん、朝日新聞を見てご夫妻で参加してきたMさんにお話しいただき、それから今回練習会場として使わせていただいた夜間中学にお勤めのNさん、会場使用に尽力してくれた雲ちゃんにも一言感想をお願いしたところで、そろそろ残り時間が少なくなってきました。
時間はありませんが、寺ちゃんからも一言お願いします。
「え、あたし?」
寺ちゃんは、子どもたちの声の総責任者。今回は少ない人数でどうまとめあげていくか、随分と悩みも大きかったのではと思いますが、言葉の端端に長く関わってくる中で培われた子どもたちへの信頼がにじみ出ていました。そして子どもたちに関わる大人には一体何が求められるかということも…

そして、酒井さんと遠藤さん。
お二人のこの表情がすべてを物語っているのではないでしょうか。
一人何役もこなしてくださり、見えないところで獅子奮迅の働きをしてくださった遠藤さん。
初めての地元での里帰り演奏、いろんな想いがおありになったことでしょう。その中で戦後80年平和都市宣言記念事業として招聘されたこの平和コンサートに全力を集中してくださった酒井さん。
本当にありがとうございました。
時間が来ました。
最後に、ホープちゃんから蕨の合唱団の合同演奏会のご案内。
「本当にお疲れさまでした。打ち上げはこれで終了にしますが、何か言い足りないことがあった人いますか」と聞いてみたところ、なんとなんと
「一言、言わせてください」と駆け寄ってきたのは、再びホープちゃん。
「私は小さいころから歌ってきて、こうやって子ども係のスタッフとして続けています。今回歌ってくれた子達も、次はどうなるかは分からないけれど、ぜひ続けてつながってほしいです」
ホープちゃんは、どうすればこの川口ぞうが続けていけるのか、つながっていけるのか、今回スタッフとして関わる中で、そのことを痛切に感じ、自らの問題として問いかけながら若者たちをまとめ、ここまでやってきてくれました。噛みしめるような一言一言からそのことが伝わり、ぐっと胸が締め付けられる想いでした。
さあ、次は17日。「教育のつどい」での30分演奏が待っています。
酒井さんは妥協しません。
はい!
「みんなで今日よりも更に良い演奏を」そんな想いを大きな拍手に込めて、蕨平和都市宣言記念公演は幕をとじました。
Text by あのじ
Photo by くのいち、ホープ、けーちゃん、まのじ、あのじ
蕨へ!
7月27日
「暑いですねえ!」
このひと月、誰に会っても、第一声はそれしか出てきません。
昨日は、「本日気温が一番高かったのは、北海道の帯広でした」だなんてニュースで言っていたけれど…
この酷暑、もはや、体調管理が最優先課題と言っても過言ではなくなりました。
9時前
鉄の校門扉を開けようとしたら、アッチッチ。火傷しそうな熱さです。
こんな中、みんながやってくるのですから、早く冷やさないと…
何はさておき、鍵を開けて先ずはエアコンスイッチへ猛ダッシュ。
ほどなく、2日の蕨と17日教育の集いの演奏の音響をお願いした大園さんの車がたくさんの機材を積み込んでやってきました。
「おはようございます」
「よろしくおねがいしま~す!」
スタッフは二手に分かれ、受付周りを設営するメンバーと、機材を搬入しホールの中を整えるメンバーと。
受付周りは、受付、会議室、小物売り場を整えます。
今日は、蕨のチケットを渡さなければならないから、机がもう一本要りますね。小物はまたまた新商品登場!
粛々と手際よく、設営完了しました。はい、こっち向いて!

ホールの方はどうでしょう?
「久しぶりだから、どうやって椅子を並べるのか忘れちゃった…」
あらまあ(笑)
「ほら、ソプラノの前に子ども達のスペース作って」
「男声は25人くらい並べておけばいいですか」
「カーテン、開けた方がいいのかな」
「あ、もう一番のり、やってきたぞう!」「手伝ってもらえばいいね」
なんとか、並べ終えたところで、(あ、音楽室のパーテーション閉まったまま)と、気づいたわのじさんが慌てて開けにいってくれました。

「おはようございます」
「暑いですね」
汗をふきふき玄関に辿り着いたどの顔も、1か月ぶりに一緒に歌える嬉しさで弾けてます。
10時前
寺ちゃ~ん、よろしく~!
ほらほら、グーチョキパーとグッパーは、みんな考えてちゃできませんよ。

「おはようございます~」
「だいすきだよ~」
寺ちゃんに合わせて、声を出します。そうそう、大きな口を開けて!

この頃、酒井さん、遠藤さんとフルートの嶺井さんは、もりやんと17日の30分バージョンについて台本見ながら打ち合わせ。少し時間がかかりそうなので、いつもと順番が違うけど、諸連絡を先にお伝えすることといたしましょう。

4人がホールに戻ってきました。
はい、酒井さん、それではよろしくお願いします。
「おはようございます。お久しぶりです。お元気でしたか?実は僕は少し体調を崩してしまって…」
そうなんです。酒井さん、本番が終わってからも一日も休みなく、大学以外にも長野、大阪、沖縄などを何度も往復したり、超多忙な毎日で、前日に体調を崩されていたことを知ったのですが、「たった一回のリハーサル(酒井さんは毎回の練習のことをこう言われます)ですので、明日は死ぬ気でやります‼‼‼」などと宣言されたので、「酒井さ~ん、明日はくれぐれもご無理なさらず。何よりも命を大事にする川口ぞうですから…」とは伝えていたのですが。。。
酒井さんは、映像の編集をお願いした遠藤さんから送られたデータで、今日の練習のために、本番の演奏を確認してきたと。(遠藤さんの映像編集のご苦労については、あらためてたっぷりと…)
そして
「本番の演奏については、何よりもピアニストが本当にすばらしかった!あらゆるところでコントロールしてくださり、僕が今回やりたかったテンポ、表現をそのまましっかりとピアノの音に載せ、演奏全体を支えてくださいました」
大きな拍手が起こりました。
きっと団員全員が同じような気持ちだったと思います。酒井さんを支え私達をしっかりと導いてくださる遠藤さんのピアノ、そして練習を通して知ったそのお人柄に強く惹かれていたからでしょう。

「次は、子どもたち。よく頑張ってくれました。議長さん、ソロ、音を創ってくれた大きな子たち。本当にすばらしかった。ありがとう。小さい子たちもとっても可愛かったですね。色を添えてくれました」
みんな、大きく頷きながら笑顔で拍手!👏👏👏
拍手を受けた子どもたちの顔、大人の方に向かって見せたかったですね。どの子も照れくささの中にも、歌い切った自信で誇らしげにピカピカ輝いていましたよ!
「大人の皆さん、次は、自分たちの番と思ってるでしょ。でもね、今日は褒めません(笑)。なんて言いましたが、本当によく応えてくださいました。あとでまたやりながらいろいろお伝えしたいと思います」
酒井さんは続けて、フルートの嶺井さんとクラリネットの眞塩さんのエピソード、そして、誰もが心震えたあの前代未聞のアンコール秘話も…
酒井さんが本番直前まで、少しでも心に伝わるものを届けたいと足掻き続けてこられたのは、日々いろいろなやり取りをする中で強く感じていましたが、それがアンコールのことにも及んでいたとは…
まかり間違えば会場全体が白けてしまう、どうしたらいいのだろうか…悩んだ末、前日の夜に全幅の信頼を置かれているお連れ合いに相談され、「パパならできる」と背中を押され決断されたそうです。
あの日そっと「人間の命を、動物の命を のところを会場と一緒に歌ってもいいだろうか」と耳打ちされた時の驚きは忘れることができません。前回お願いした時に、「子どもたちのわ~いの歓声で振り切った後に、アンコールでまた振るというのは考えられない」という酒井さんの拘りを知っていたからです。
しかし、そんな気持ちを持ちながら、前回に続き、今回も最後のあの部分をアンコールで歌うということを了解していただいてはいたのですが、まさかあんな形を考えて下さっていたとは…。
聞いた途端、酒井さんのこの曲にかける想いの深さに鳥肌が立ち、大きな興奮に包まれました。「酒井さんなら、絶対すばらしいアンコールになる、凄いコンサートになる」そう確信し、「お任せいたします」とお応えしたのです。
実際には歌い終わった後の会場の雰囲気がどんな状況になるか分かりませんので、舞台裏でのほんのごく一部の共有となったのですが、会場中を包み込んだあの歌声は、あの場にいたすべての人達の心に深く刻み込まれ、語り継いでいかれるに違いないものとなり、お聴きくださった藤村さんからは「今後のぞうのアンコールのスタンダードになればいい」との言葉までいただきました。
会場から浦和駅に続く道では、いったいどれだけの人があのフレーズを口ずさんで帰られたことでしょうか。これまでの何倍も寄せられた感想にも、しっかりとそのことが記されていました。
さて、これまでのコンサートだったら、本番が終わり、みんなが集まって感想を交歓し合って、じゃあまたねとおしまいになるのですが、今日は違います。
これから、2日の蕨の本番が待っています。
酒井さんは、妥協しません。
「蕨の方がハードル高いんですよ。6月の本番は川口ぞうを知っている人がほとんどだったけれど、今度は川口ぞうもぞうれっしゃのことも知らない人に聴いてもらうのです。この前よりももっといい演奏をして、お客様に聴いていただきましょう。さあ、では1番から始めるよ。子どもたちよろしく!」
1番
「子どもたち、2日の時は一か所だけ、直してね」
♪こどもたちの夢のせかい
ここは滑らかに
4番
♪ながいはな、おおきなからだ、やさしいめをしてるんだ
「ここは、優しく切ってね。」
「フルートの音、聴こえるかな」
あ、ちゃんと聴こえました!

嶺井さんは、あの本番で新しいフルートを初めてデビューさせたそうです。すばらしい楽器で演奏してくださったんですね。今日も本当に素敵な音色で、その音色に魅せられて、休み時間に何人もの人が嶺井さんの周りに集まっていましたよ。
ドンドコドン
「男声陣のここのところですが、皆さん、どうやって太鼓を叩きますか」
ドン、ドコ、ドン
右左と交互に打つのではなく、ドのところすべて同じ利き手で。ほら、そうするとしっかり頭が揃いますね。

8番
冒頭の鐘の音を、ピアノが受け、園長のセリフと重なるところ
酒井さんから、「遠藤さん、チャイコフスキーのピアノコンチェルトの出だしのように」と驚くような指示が遠藤さんに出されました。

遠藤さんがすぐさま弾いて応えます。
「もっとこんな感じで!髪振り乱して!」
「酒井さんと遠藤さん、ステキなコンビですねえ」
終わったあとに、ニコニコしながら何人もそんな感想を伝えてくれましたが、実演を交えた酒井さんの指導、見ている団員は超ラッキーでしたが、応えようと奮闘する遠藤さん、ほんとにすごかったです!
子どもたちも本番より人数が少なかったのに、うんと響く声で再現してくれました。
9番
11時15分。わあ、かなり時間が経ちました。子どもたち、よく頑張ってます。フルートとの掛けあいの部分にもしっかりと耳を傾けています。
もう少しで休憩だよ!
「はい、お疲れ様でした。じゃあ休憩にしましょう」
「ちょっと待ってください」ともりやん。
「15分ほどいただき、17日の説明をさせてください」
子ども係、おもわず顔を見合わせて、え~~~!
「皆さん、お座りください」
30分バージョンなので、全曲はできません。
その流れを説明したあとに、6番から8番まで、歌わずに園長と子どもたちのセリフでつなぐところを一度確認して、終了。
あとは当日の練習でカバーしましょう。
続けてシバやんから当日の会場周辺の話をお伝えし、では、休憩。
子どもたちは、12時半まで。おとなは11時50分から再開です。
休憩時間の過ごし方は、それぞれの様子。
軽食をご用意くださいとお伝えしていたのですが、小物のお店では、なんと那須にお住まいのKさんが収穫したきゅうりが、小物の足しにしてほしいと1本10円で売られていたそうな(笑)。もしかするとその場で買って食べた人もいるのでしょうか。すぐに売り切れたそうです。
11時50分
大人は練習再開。
酒井さんが足掻き続けた3番から。
なんと、最後に加えた特別仕立てのハミングについて、
「取りましょう」
「はい」
もうみんな驚きません。この8か月ですっかり酒井さんの指導に慣れたのですね。元の楽譜にもどりました。

5番から7番もさらいました。
その間、子どもたちはどんな風に過ごしていたのでしょうか。


7番をやっている間に子どもたちがそっともどってきました。
9番
ここでも一ヶ所、変更がありました。
最後に大人が園長のソロと被るところ
♪いつまでも やさしく みまもってあげてほしい
「ここの『いつまでもやさしく』は、園長の想いをしっかり伝えるために、園長のみが歌い、バックはハミングで。『みまもってあげてほしい』は、これまでと同じように歌ってください」

酒井さんは、これまで何度もその時々の大人の状況を確認しながら、一番響きにふさわしいアレンジを試みてきましたが、今回3番の最後のハミングを取ったのは、大人のレベルが上がってきて余計なものをつけ加えなくてもよくなったからのようです。
今日は、大人は直接褒められてはいませんが、酒井さんの要求に応えようと一生懸命頑張ってきた大人にも大きな拍手を送ってくれているのですね。自信をもって、2日に臨みましょう。

子どもたちが加わって、10番、11番。
「わ~~~~~~~~~い!」
今日もまた、熱く心躍る練習となりました。
どの顔もどの背中も、ルンルンほっかほか!
帰りがけに、今回初めて参加されたOさんから話しかけられました。
「あの~、本当にこれが終わったら秋に解散なんですか。次の秋までないんですか?」
「そうなんですよ。10月のコープみらいフェスタとか、同窓会とかでは顔を合わせますが。会場抽選もとても難しいですし、また会場が決まっていろんなことが固まればご連絡しますね」
「さびし~い」
そう言ってちょっと肩を落とされ…
ごめんなさい🙇
さあ、2日を迎える準備は整いました。
チケットの抽選に外れた方も随分といらっしゃったようです。
その人たちの想いも乗せて、平和への祈り、命の尊厳をしっかりと客席に届けられるように、心を込めて歌い上げなければね。
暑さに負けず、体調整えて、元気に蕨市民会館に集まる🐘
Text by あのじ
Photo by くのいち、ホープ、W子、あのじ
子どもたちよいつまでも 忘れないでほしい!
6月22日
待ちに待った本番の朝。最高気温は35度との予報も。どうかお客様のお越しになる時間帯は、少しでも和らいでいますように。
8時半
蕨駅でくのいちさんと待ち合わせ。ホームに降りたら、寺ちゃんの姿も。
「おはよう。今日は暑くなりそうね」
「いよいよだね。どんな本番になるのかしら」
そんな話をしながら改札を出ようとすると、あらま、あっちにもこっちにもお仲間が…
「この電車、集合時刻にちょうどいいと思ったの」
みんな考えることは同じでしたね。
9時前
埼玉会館の搬入口にはすでに舞台スタッフさんがそろっていらしたので、通りすがりにみんなで元気にご挨拶して、集合場所の楽屋口へ。
わ、みんなもう来てる!気合入ってますねえ。

一番若いS君は、お兄ちゃんのY君と一緒です。彼らは小学生のM君も入れて3兄弟。Y君、実は前回は練習に参加できなかったので観客としてきたのですが、ママから「使い倒していいです~」と言われて、急遽会場スタッフに変身し大活躍してくれました。今回は歌い手として復活し、弟のS君がお兄ちゃんに代って裏方へ。これまたママから「使い倒して、パートⅡ」と聞いたので、よおっしゃ(笑)
そのS君、なんとなんと、結果的には凄い働きをしてコンサートを支えてくれることになったのですが、その顛末はまた後で。
扉が開けられ、まずはホワイエから設営開始。舞台監督の井関さんからの指示があるまでは、伝令の団長一人をホール客席に置き、平台部隊もみんなホワイエを手伝います。
まずは、レイアウト図に従って、椅子等を移動し、机やキャスター付きボードを運び出します。指示をするのは、ホワイエ隊長のふのじさん。自ら写真も含めた掲示物の製作、運搬、設営指揮と、獅子奮迅。まだ現職で多忙な中、前日も何人かのお手伝い組と一緒に、ほぼ徹夜作業。ほんとにありがとう!
全員が粛々と作業開始。自分がしなければならない作業を見つけ、実に軽やかに動きます。

隊長は座り込んで、木下サーカスで子どもたちを迎える4頭の象さん達の風景仕上げを開始。お連れ合いのKちゃんも一緒に。

おお、完成しました!
お迎えの風船、肺活量は大丈夫?
パーン、きゃあ、一個割れちゃった💦

U詩君は、今回もフリーコーナーに大好きな絵を描き出しました。ここに集合した団員みんなが描き込んでいくコーナーです。
そうこうしているうちに、表看板完成!おなじみのSさんのイラストもかわいい!
そうだ、中の看板も作らなくちゃね。満席が嬉しくって弾んじゃう♪

35年間の私たちの歴史、今回の練習風景、ぞうれっしゃの話、団員のYさんのお母さんの描いてくださった「ぞうの子どもとかあさんのおはなし」、次々に出来上がっていきました。
練習中にみんなを驚かせた「紙に描いたぞう」は、ひっそりと裏方に…


おやおや、「旅するゾウさん」も来てくださいました。今日はここでお店を開いてくださるようです。
12時
プログラムへの折り込み開始。
「お~い、人手がたりないよう~。だれか手伝って!」
びんちゃんが叫んだ途端、ホワイエを手伝ってくれていたメンバーが何人もさあっと向かって行きました。さすが!
「ねえ、アンケート足りないよ」
「えっ、ちゃんと印刷したはずだけどなあ」
モタモタしていられないので、ここは足りない分はコピーするしかないですね。とりあえずアンケート以外折り込むから、シバやん、走れ~!
12時半
集合時刻になりました。みんなニコニコ顔でやってきます。
そうそう、その笑顔ですね!思わぬこともいろいろ発生し、前日までどうなるかと心配していた子も明るい表情です。あ~、よかった。一緒に歌えますね。
子どもたちは、あちこちの展示をみて、大騒ぎ。
そりゃそうですよね。自分たちの顔が大きく写っているんですもの。
あ~れ~、おとなの皆さん、写真は触らないでね。
一緒に座り込んで遊び始める子どもたちもいれば、ぞう旗の前でこんなポーズをとる「ことなチーム」の3人組も…それって、2年前と全くおんなじポーズじゃないですか(笑)
団長のひろも、2年前と同じく、子どもたち相手に楽しそう!
こういう場面に出くわすと、胸がきゅ~んと熱くなります。この若者たちは川口ぞうを始めたときは、まだ生まれてもいなかったのですから…


さ、時間です。そろそろ集合かけましょう。
寺ちゃんお願い、一声かけて!
「あつまれ~」
ぞろぞろ周りに集まってきました。
「さあ、みなさん、いよいよ本番です。皆さんががんばったおかげで、チケットストップ、満席のお客様の前で歌えますよ。今日は間違いなく素晴らしい本番になりますよ!」
わあい、とみんな拍手喝采。

「柴ねが言った出だしが肝心、いい笑顔で!酒井さんは、昨日も今日もずっと最後の足掻きをされながら、ここにやってこられました。酒井さんの足掻きに応えられるように、酒井さんをしっかりと見て、酒井さんと心を繋いでがんばって歌いましょう。これから先は、ちゃんとスタッフの言うことを聞いて、役割のある人以外は、絶対に自分勝手に判断して動かないでくださいね。楽屋などで部屋を離れる人は、必ずパートリーダーさんに伝えてからね。分かった人!」
は~~~い。
お~、みんな元気に手を挙げてくれました。(ほんとかいな、大人の皆さん頼みますよ…笑)
「体調崩した人はいませんか。調子が悪くなった人は、くれぐれも無理をしないで、スタッフに伝えてくださいね」
舞台監督井関さんの指示がでました。
「最初に子どもたちから、その後はパートごとに客席に移動します」
子どもたちが客席に入っていきました。ソプラノが続きます。
入り終わった頃に、受付や会場整理や花束受付をお願いしている外部の人達がやってきました。まずは打合せから。
受付担当してくれるのは、FさんとAさん。いずれも元団員のベテランさん。
今回も快く引き受けてくれました。当日券がないことなど簡単に説明する以外は、代済預かりチケット、精算チケットの一覧を渡し、打ち合わせ終了。この人たちには、開演後に駆け込んでくる人たちのことも対応してもらわなければならず、いつもモニターでしか演奏をみられないのです。ですから、せめてゲネプロの時だけでも集中して聴いていただければと思って、この時間に来てもらったのです。
会場整理のリーダーは、今回もKさん。全幅の信頼を置いています。団員の要員もいますが、開場後5時にはリハーサル室へ移動していなければならず、実質的に外部の人達の捌きがなかったら、会場の混乱は必至。毎回やっていても、お客様の出足などはお天気次第のところもあります。本当にご苦労をおかけするところ。今回は外部からは5人のメンバ―を揃えました。ここはお任せして、ステージにあがるためにホールの中へ。
すでに、みんな舞台の上で並び終えていました。子どもたちも初めての経験ですが、しっかりと並んでいます。
大人は、予想通り15日の練習の時よりも、お隣との間隔は狭く、斜めに。自分の立ち位置は分かりましたか?
並びを確認した後は一度楽屋へ荷物を置きに行き、再度舞台に戻りました。
酒井さん登場。
「皆さん、よろしくお願いします。最初に少しだけ大事なところをつまみながら確認して、それから全曲通します」
本当に、酒井さん、最後まで緩めず追求し続けるんですね。気持ちが引き締まってきました。ついていかなくては…
井関さんは、時計とにらめっこ。
「それでは、通します」
1番。子どもたちのセリフが終わったところで、
♪サーカス。。。ありゃありゃありゃ。肝心の出だしが…。
酒井さんが止めました。みんなワサワサ…
「いいんです。ここで失敗しておけば。さ、もう一度」
♪サーカスはいつでも、子どもたちの夢の世界
大丈夫。今度はうまくいきました。
その後も、軍人のセリフやら園長のセリフやら、いくつかあれあれ?のところが出ましたが、「今なら、いいです」の激励とともに、何とか終わりまで歌い終えました。
照明は初体験の子どもたち、雪が降ったり、空襲警報で赤くなったりした場面、どんな表情だったのでしょうね。
その後は、打花打火のお二人とピアノの田中さんも舞台に出てこられて、アンコールの絡み部分の確認。わあ、音が入って楽しそうなフィナーレになりそう♡♡
いつもなら、ここで楽屋に戻るのですが、今回は、この後にもう一つ助成金をいただくことになった三菱UFJ信託地域文化財団からの「目録進呈式」が残っていました。
コロナ前に一度助成決定されたけれども、延期になってしまい、今回再度挑戦。5年越しの助成を財団の方もことのほか喜んでご挨拶してくださいました。目録をいただいてから、みんなで記念撮影をして終了。
ここからは楽屋に戻り、しばらくは休憩時間。みんな心と体を休める時間ですよ。勝手に動かず、静かにしててね。役割をもらった人は、すぐに所定の位置について。
3時半
慌ててホワイエにもどると、すでに行列ができ始めています。これは大変。
お客様誘導の雲ちゃんとSママ、打合せ通り、動き始めます。若者連もプラカードを持ってそれに続きます。
モギリはOリーダーを中心に、プログラムの渡し方、チケットのモギリ方等の復習も。今回は歌えなかったけれど、協力を申し出て下さったW親子のお二人の姿もありました。
列はどんどん延びていきます。伝令のU佳ちゃんが開場の可否を尋ねに井関さんの元に走ります。
早くからお越しくださっているのにごめんなさい。舞台では最終チェックをしていて、井関さんの許可がなければ、安全に開場できないのです。
「まだです。リハが押したので、ぎりぎり予定の4時半です」そっか。
「外まで列が延び始めました」
暑い中、お客様が外で並ばれるのは、どうしても避けたいところ。もう一度、確認しようとU佳ちゃんが走ります。
4時半より少し前
手を丸くあげて、息せききって戻ってきました。
「いいそうです」
ああ、よかった!
「皆さま、大変お待たせしました。開場いたします」
慌てることなく、お客様が入っていらっしゃいました。
二人一組になったモギリが、明るく声をかけながら、お迎えします。
5時の開演時間ちかくまで、その列は途絶えることなく続きました。
5時
本ベルが鳴って、第一部開演。
打花打火の皆さんの演奏が始まりました。
その迫力に、お客さんもくぎ付けです。団員の皆さん、今日は自分たちの歌に集中するためにみることは叶いませんが、終わったらぜひその機会を持ちますから、待っててくださいね。
その頃、大人はリハーサル室に移動し、本当に最後の練習をしていました。どんな練習が展開されていたのでしょう。きっといろんな想いがギュッと詰まった練習だったことでしょう。
さあ、私も移動しなければ…。
と思って舞台袖に行こうとした矢先、なんとなんと、開演後のホワイエの受付をS君が買って出てくれたのです。これまで一度もきちんとホールで演奏を聴けなかったFさんAさんに、ぞうの演奏を聴いてもらおうと。なんという成長ぶり。ああ、この子もぞうの子になったんだ!鼻の奥をつ~んとさせながら、袖に向かって走っていきました。
5時45分
大人は廊下に並び、合図とともに、舞台へ。ハイタッチをしながら、一人、また一人。歌える喜びが弾けている顔、初体験でいささか緊張気味の顔、柴ねも最後の「笑顔」コールです。いろんな表情とともに全員が並び終えました。
さあ、行くよ!これまでやってきたことを、全部出し切るよ!
燕尾服姿の酒井さんが指揮台に立ち、遠藤さんのピアノと共に、緞帳があがり始めました。
子どもたちの第一声
「サーカスだ、サーカスだ、サーカスがやってきたぞ!」
なんてすごい!明るく、パワーにあふれ、自信に満ちた声がホールいっぱいに響き渡りました。
大人も負けてはいられません。笑顔で応えます。うん、これでもう大丈夫。心配しないで落ち着いて。
2番のかれんちゃんのソロ、透明感のある声で、団長に向かって「ぞうを売らないで」と切々とお願いする姿が胸に迫りました。
最後まで足掻いた3番。練習の時に見学の方をうならせたように、説得力を持ってお客様に届いていったでしょうか。ハーモニーも感じてもらえたでしょうか。舞台からはあちらこちらで涙ぐむお客様の姿もしっかりと見えました。
4番。再び、子どもたち。アドン、エルド、マカニー、キーコ、4頭を呼ぶ声が弾んでいます。
空襲警報の音と共に、子どもたちは静かに腰を下ろしていきました。
5番、6番、7番と、子どもたちなりにそれぞれの場面を受け止め、たくさんの動物が殺されていく中、寒さや飢えで命を落とさざるを得なかったキーコやアドンのことを思い、マカニー、エルド、どうか生き続けてと願う大人たちの声をしっかりと聞かなければと思ったのでしょう。
鐘の音が響き渡り、子ども議会が始まりました。
「ハイ」「ハイ」「ハイ」「ハイ」夢中で手を挙げる子どもたち。
「静かにしてください」議長Fちゃんのキリリと引き締まった最高の声が聞こえてきました。すごい!大人はみんな心の中で大拍手。
ソロのYちゃんも、素晴らしい歌声で続き、自信を持って伝えようとセリフの子達が二人をしっかりと支えました。なんというチームワークでしょうか。
9番、園長を支えるハーモニー、何度も何度も練習してきたところ、本番では最高の響きを出せました。自信がないと言っていた人が何人もいましたが、今は誰一人下を向く人はいません。みんな酒井さんを信じ、酒井さんに委ね、まっすぐに声を届けています。
10番、さあ、子どもたちの夢をいっぱい載せてぞうれっしゃが走りだしました。子どもたちは走る列車の窓から身を乗り出すように名古屋に向かっていきます。その子どもたちに遅れまいと必死に食らいついていく大人たち。
気がつけば、あっという間に終曲です。
酒井さんが一番伝えたかった言葉、それを心の中で反芻しながら懸命に子どもたちにむかって表現しようと歌う大人たち。その胸に去来したものは何だったでしょうか。
「わ~~~~~~~~~い!」
子どもたちの歓声とともに、会場中からどうっと拍手が湧き起こりました。
やったあ!私たちの想いを届け切りましたよ!最後まで歌い切ることができましたよ!
子どもも大人も満面に輝く笑みで応えています。
鳴りやまない拍手の中で、カーテンコールが始まりました。
まずは子どもたちがぴょこんとご挨拶。照れたような可愛いお辞儀にまたまた大きな拍手。ここまで奮闘してきた子ども係も一緒にご紹介。寺ちゃん、本ちゃん、ホープちゃん、U佳ちゃん、W子ちゃん、そしてH実ちゃん。本当に嬉しそう。お疲れ様でした。
大人のご挨拶の後は、まずは伴奏で支えてくれたピアノ遠藤さんとがっちり握手。続いて酒井さんは、フルート嶺井さん、クラリネット眞塩さん、ソロやお芝居を担った園長、軍人、猟友会、団長、少女、一人ひとりをにこやかにご紹介していきました。
客席には、はるばる名古屋から駆け付けてくださり、私たちの演奏を聴いてくださっていた作曲者の藤村記一郎さんの姿もありました。
「どうぞお立ち下さい!」
酒井さんは藤村さんに、こんなにも素晴らしい作品を作って下さったことへの感謝の気持ちをお伝えし、それを受けた団員も大きな拍手で応えました。
いよいよアンコールで締めておしまいねと団員が思っていたら…
いきなり酒井さんは、くるりと客席を向き、話し始めました。
「これからアンコールをやりますが、ぞうれっしゃで私が1番好きなフレーズはここなんです。いつもこの部分を振るときは、胸がいっぱいになります」
そうです。酒井さんが客席の皆さんにお伝えしたのは、やはりずっとこだわってきた11番の「♪子どもたちの笑顔は~」の部分でした。
団員はみんなそこを歌うことは知っていましたので、すぐに演奏が始まるのかと思って聞いていたのですが、なんと酒井さんは、更に続けて
「人間の命、何よりも大切なその命の尊厳が世界中で脅かされる日々が続いています。歌詞カードはないですが、会場のみなさんにもぜひご一緒にこのフレーズを歌ってほしいのです」
そう言って、まずは合唱団員が「♪人間の命を慈しむ心を」を歌った後に、会場のみなさんにも繰り返し歌ってもらいました。続けて同じように「♪動物の命を慈しむ心を」もご一緒にと促しました。
驚くことに、2度3度と繰り返すうちに、合唱団員が歌っていないのに、客席からしっかりとそのフレーズが流れてきたではありませんか!
それを聞いた酒井さん。
「予定にはありませんでしたが、次にいきます」と、「♪子どもたちよ いつまでも」と続けながら、くるりと団員の子どもたちに向かって話しかけました。
「ここにいる子どもたちは、この歌詞やもしかすると私の顔も忘れちゃうかもしれませんが、こんな会場で観客のみんなと歌ったなということを、いつかまた思い出してもらえたら」
いやはや、本当に驚きました。
最初の「人間の命、動物の命」を会場と一緒にというのは、全曲歌い終わった後に酒井さんも会場もどのような状況か分からないということから、一部のスタッフを除き、誰にも知らされていなかったのですが、知らされていた私とて、まさか最後まで一緒に歌うことになるとは…
全く想定もできないことでした。それほど酒井さんの想いは深く、会場全体で確かめ合いたいと思われたのでしょう。
こんなアンコールは、かつてどこでもやられたことがありません。
会場全体が一つに溶け込み、一体感を持った熱いエネルギーが渦巻いていきました。
「さあ、みなさん、ご一緒に歌って、フィナーレといたしましょう!」
呆気に取られていた団員も、ピアノの音に気付き、我に返ったように歌い始めました。
♪子どもたちの笑顔は明るく輝き、戦争で傷ついた心を癒してくれる。人間の命をいつくしむ心を 動物の命をいつくしむ心を 子どもたちよいつまでも忘れないでほしい、子どもたちよいつまでも忘れないでほしい
ここで打花打火さんたち、笛や太鼓、ピアニカを持ってにぎやかに登場。盛り上げて下さり、本当にありがとうございました。
最後に改めて打花打火さんたちをご紹介。団員の誰もが胸が熱くなり、何とも言葉にできない空気に包まれる中、静かに緞帳は下りていきました。
「本当にお疲れさまでした。すばらしい本番になりましたね」
みんな、大拍手。
酒井さんと心を込めて長いハグ。
「酒井さん、ありがとうございました」
「遠藤さん、嶺井さん、眞塩さんも、ありがとうございました」
「次は8月2日蕨です。7月27日練習は10時から13時です。また改めてご連絡します」
お客様をお見送りしなければならないので、話したいことはいっぱいありましたが、今日のところはこれでおしまい。元気にまた会いましょう!
団員は楽屋、ホワイエを通って、会場の外へ行くことになっているのですが、お客様として来て下さった懐かしい人との交流があちらこちらでなかなか止みません。
スタッフはそんな中、興奮をぐっと抑え、舞台やホワイエの片付けに集中。手の空いた順にいざ打上げへ!
藤村さんも交えたその時の話は、いずれまた!
作曲者藤村さんの想いと指揮者酒井さんの想いが見事にクロスした、本当に心が震える瞬間に立ち会えた歓びを噛みしめています。
最後は、浦和駅前で記念写真をパチリ。日付変更線を超えることなく、お利口に解散し帰宅の途につきました。
お疲れさまでした~!


さて、いつもは、これでメンテナンスに入る釜焚き機関車ですが、今回は客車を連結したまま車庫で待機し、8月2日の蕨市民会館に向かって、また一駅走っていきます。
夏真っ盛り、暑さ厳しい毎日が続くと思いますが、体調にはくれぐれも気をつけてがんばろうね!
じゃあ、またね。
Text by あのじ
Photo by くのいち、ホープ、W子、U子、あのじ
【子ども係 本ちゃんから、今回も素敵なレポートが届きました💛】
♪コンサート当日
ファミリー楽屋では、練習の時、いつもは離れている家族と一緒でうれしそうな子どもたちです。ご飯を食べようとしていたNちゃん一家がトランプを始めようとしたS君たちにテーブルを譲ってくださいました。4人、5人と増えてババ抜きが始まり、勝った、負けたと大盛り上がり!私が負けた時はみんな大喜び?神経衰弱もしました。
みんなをまとめてくれたのは高校生のY君でした。朝から準備を手伝ってくれました。ありがとう!折り紙を持って来て遊ぶお豆ちゃんに、パクパクを教えてあげるNちゃんは2年生です。上手く折れないAちゃんは私の言葉「大きくなったらAちゃんも上手にできるよ」と言いながら作っていました。
「けん玉はないの?」と今日はあやとりするS君に、名人A君が教えています。いつもと変わりない様子です。
おなかがいっぱいになったお豆ちゃんたち、お昼寝してほしいけれど、そんな様子はありません。みんな、廊下まで聞こえる大騒ぎで、楽譜を広げて確認する団員がいる大人楽屋とは大違いです。ステージや客席が映し出される画面を見ながら、緊張する役のある大きい子たちに、「大丈夫だよ!」とそっと肩に手をおくだけで笑顔になりました。
大人の声だしのため、離れる時間になりました。片付けて広くなった部屋では「だるまさんがころんだ」が始まりました。首を痛めたN絆ちゃんも一緒に動くので、さすがにストップをかけました。一人でいる子は誰もいません。みんなひとつになっています。たくさん遊んで、暫しクールダウンそして、寺ちゃんから毎回本番前に伝える言葉「このメンバーで歌うのは今日が最後、今まで頑張ってきたから自信を持って!」に真剣な顔で応える子どもたちでした。
そして、舞台袖へ移動。初めの頃は、大人から離れなかったAちゃん、今日はなんとソロを歌うYちゃんが手をつないでくれました。小さい子の面倒をみることが自然にできる、この姿がぞうの子どもたちなのです。歌う前からじーんとしてしまいました。
最後の緊張をほぐしてくれたのは団長さん、ことなチーム。
そして、いよいよ本番さすが、本番に強い子ども!ぞうれっしゃ合唱団の財産はやっぱり子どもたちです。
子どもたちをいっぱい褒めてくださった酒井さん、本当にありがとうございました。子どもたちのこと、いつも温かく見守ってくださった団員の皆さん、ありがとうございました。
「ここは子どもたちが大切にされる場所」と、子ども係を支えてくださった方に感謝します。幸せな時間を本当にありがとうございました。
【おまけのつぶやき】
練習を始めて間もなく、酒井さんの「ぞう」にかける情熱が、前回よりもはるかに強くなっていることに気づかされました。
「誰でも歌えるようになりますよ」とお誘いし、初めて参加する人の中には、「楽譜も読めないのですが」という人もいれば、合唱経験などない外国籍の人もいる、子どもたちもなかなか集まらない上に、半分以上が初めてのお豆ちゃん、そういった条件の中で、一体どうやったら酒井さんの一段高くなった要求に応えられるのか、当初スタッフは激しく悩みました。
そして、悩んだ末に出した結論は「歌が上手い、下手が問われるわけじゃない。みんなの心が酒井さんとつながるかどうかなんだ。その姿勢の問題なんだ。私たちは、もう一度原点に帰り、ぞうと真摯に向き合い、酒井さんを信じてついていく。酒井さんの想いに応えられるように、それを創り出せる条件を少しずつでも整えていく」ということでした。
それが『こあ』の「ちょこっと」掲載や、個別のお話し合い、毎回練習後に続けた子ども係との膝突き合わせた対策協議などにつながったのです。
そうやって積み重ねてきた17回。
練習のたびに、大人も子どもも、一人残らず酒井さんへ向ける視線が強く熱くなっていくことが肌で感じられるようになりました。子どもたちのがんばりは、何よりも大人たちを励ましてくれました。前回力を発揮してくれた若者たちも、更にパワーアップして支えてくれました。
迎えた本番。
全曲歌い終わった後のアンコールで、客席も一体となり、会場中に響き渡った歌声を聴きながら、溢れる想いをこらえきれませんでした。(あ)
2025型式ぞうれっしゃ、間もなく終点に到着します!
6月15日
今日はいよいよ練習最終日。
せめて音響機材を搬入する間だけでも小やみになってくれますように!
明け方の強い雨を恨めしく眺めながら、そんな風に祈っていたら、なんとなんと!
やっぱり天の神様から愛された素敵な人がメンバ―の中にいたんですね!
「あたし、晴れ女なんです!」
前回のブログで、「毎回、天の神様に助けられるのは、誰か行いのいい人がいるのね」と書いたら、なんと今回大人になって初参加のSさんが、嬉しそうにそう伝えてくれたんです。
そのおかげでしょうか、雨は次第に小やみになってきました。
8時すぎ
夜間中学到着。
玄関前にきれいに並べられた向日葵やマリーゴールド。雨粒が当たって、花びらがより一層輝きを増しているよう。
いつもよりも1時間早く鍵開け、スタート。
8時半には舞台監督の井関さんはじめ、音響、照明など、本番でお世話になる舞台関係のスタッフさんがいらっしゃって、打合せ&設営を始めることになっているからです。
一番の大荷物は、音響さん。これまで本番前のリハーサルの時は、教育研究所の3階の体育館まで、何度も昇ったり降りたりしながら、重いスピーカーやら何やらたくさんの機材を人力で運ばなければならず、本当に人手がいって大変だったんです。
今回も同じように運び込まなければなりませんが、玄関先からすぐのホールですし、階段もないので、台車に載せれば十分に運べます。
そうは言っても、初めての新しい建物をお借りするのですから、細心の注意を払わなければなりません。ここは台車で床を傷つけたりしないように、ブルーシートを用意し備えます。
舞台関係者が来られる前に、受付の準備をやってしまいましょう。
小物はUさんにお任せして…。あらあ、また新商品がでてきましたよ。
今日は、「最初の1時間は少し細かいところを触るので、大人が疲れないように椅子を出してください」と酒井さんが配慮してくださったので、椅子も並べておきましょう。
あ、でも、「椅子をおいてからだと、床に『場ミリ(舞台の立ち位置やマイクや楽器の配置などを示すためのマーク)』のテープを貼れなくなるから、井関さんが来られて指示を受けてからにしよう」とびんちゃんが言ったので、いったん作業はストップ。
そんなこんなしているうちに、井関さん、音響の藤平さんと仲間の皆さん、照明の橋野さんが次々に到着され、ご挨拶。
「2年振りですね、よろしくお願いします!」
「ここ、搬入がしやすくて、いいですね」
「場ミリ」も済んで、椅子並べ開始。ピンクのテープが目印です。
いつも早く来て手伝ってくださるFさん、Sさんもご一緒に。

受付にニコニコやってきたYさん。
「ほら、見て、見て!」
まあ、ご自分で刺繍されたんですね!これを本番にも使われるのかしら。本番の服装は自由ですから、一人ひとりいろんな工夫があるかも…楽しみ、楽しみ。
10時
さあ、いよいよ最後の練習開始です。
最初に、フルートの嶺井さん、クラリネットの眞塩さんを皆さんにご紹介。
お会いするのは2年ぶり。あの時よりも更に頼もしく、磨きをかけた音色で支えてくださると思うと、ワクワクが止まりません。
全曲通す前に、まずはポイントの確認から。
これまでの練習の中で、ずっと酒井さんが伝えてきたこと。その中でも最もしっかりと脳裡に刻み付けて歌わなければならないところ。
さあて、どれだけそのことがきちんと伝わっているでしょうか。前日に届いた酒井さんからのメールには「最後の足掻き」と書かれていました。短い言葉の中にも、酒井さんの覚悟がしっかりと伝わってくるメールでした。

1曲目は子ども議会の8番。
教会の鐘の音から始まりました。子どもたちは今日初めて聞く効果音に不思議そう。最初の「ハイハイハイ」は、まだ10時の声にもなっていませんでしたが、議長のFちゃんや大きい子たちにひっぱられ、次第に元気な声に変わって行きました。酒井さんもホッ。
今日は、ソロのYちゃんが体調を崩したため、急遽代理を立てなければならなくなりました。子ども係のお願いを受けて、ピンチヒッターに立ったのはS君。
彼は、小学校入学直前に日本にやって来て、今年4年生になった中国籍の子です。いきなりのお願いだったのに、見事につとめてくれました。
お次は、9番。
「ぞうをかしてください」という子どもたちのお願いとフルートの掛け合い、子どもたちはフルートに誘われるように歌っています。
「いきなりこんなこと言って本当に申し訳ないんですが…」
えっ、酒井さん、何がありましたか?
「園長を支えるここの部分、オにしてもいいですか」
もう、みんな驚きません。酒井さんの指示がどんな風に音の響きにつながるのかが、これまでの練習で少しずつ体に染みついてきたからです。
とはいえ、本番、間違えないで歌えるかしら(笑)
大丈夫、大丈夫。酒井さんを見ていれば、全然平気!
なんて、一番怪しいスタッフが言うのもなんですが…
いいんです。酒井さんを見て歌い、間違えたら隣を見る。これを忘れなければネ!
10番は、汽笛の音から始まります。このあたりから、本番はもう子どもたちが嬉しくって、歌っていても走って走って止まらなくなってしまうんですが、果たして今回はどうでしょうか。
11番。酒井さんがこの組曲の中で最も大切な言葉と繰り返し繰り返し伝えてきた「いのち」。人間の命、動物の命…
どんな思いを込めて、この言葉に音を載せて表現するのか。会場で聴いてくださる方に、どう伝えられるのか。恐らくは、もう一度一人ひとりが問い直さなければ、歌い切ることはできないのでしょう。
それが最後の「わ~い」という歓声に結びついていくのですから。
あと1曲、子どもたち頑張って。
このあたり、外で作業をしていながら聞こえてきました。どうやら4番のようです。
「子どもたち、動物園って、どんなところ?」
そうそう。楽しいところね。じゃあ、楽しい顔で歌おうね。
「いいね、じゃあ少し遊んできてね」
水筒持って、子どもたちが出てきました。
「では、大人の皆さん、最後の足掻きです。10分延長してもいいですか。3番」
一言も漏らさないようにと、緊張感が走りました。ここは、酒井さんに集中していく皆さんの表情でお伝えしましょう。


子どもたちが戻ってきました。
1番。
「前回、受付で柴ねさんが、出だし~、笑顔で~と叫んでくださったおかげで、すごくよくなりました。ありがとうございます。皆さん、今日もその調子で」
そうです。意識するしないで、まったく声が違ってくるんですね。その時はできても、忘れるからまた伝える。ずっとその繰り返し。
11時半
「お疲れさまでした。それでは、少し長い休憩をとります。50分まで休んでください。ただ、お休みいただくのはいいですが、静かにお願いします」
「皆さん、休憩に入る前に、本番でお世話になる舞台監督をご紹介します。この方の指示なしには、会場にも入れず、ホールのドアも開けられません。全幅の信頼でお願いしている井関さんです。どうぞ」
井関さんはご挨拶に続き、音響、照明の皆さんをご紹介してくださいました。
こういうプロの方の支えなしには、大きなホールでの演奏は成り立ちません。今回は16回めの本番ですが、これまで続けて10回もやっていただき、もう気心が知れていて、安心して委ねられる方たちです。
「ご一緒に創り上げていく仲間なんですね。どうぞよろしくお願いします」
皆さんの拍手には、そんな思いが込められているようでした。
「少女ソロ、お願いします」
かれんちゃん、本番衣装を着けて酒井さんの元に近づいてきました。この衣装、すべてまのじさんの手作り。似合ってる~💛
長い休憩の間も、酒井さんはソロへの指導が続きます。
し~っ、お静かに!
みんなはその間、ソロの練習を見守ったり、玄関ホールで小腹を満たしたり、床に座って寛いだり、小物を見たりと、それぞれ思い思いの時間を過ごしていたようです。
休憩終了。
ここからは、本番さながら。
すべての音が入って、最後まで止めずに通していきます。
ステージの並びがわかるように、ピンクの線に合わせて大人は4列に。
あれあれ、ソプラノさん、凄くはみ出してる。平台から落っこっちゃうよ~💦
ほら、男声、そんなにゆったり構えないで、もっと周り見て詰めないと!
子どもたちは、寺ちゃんに従って、すぐに並び終えました。
酒井さんは、子どもたちのところに近寄っていきました。あれあれ?何か楽しそうなことしてる。何の遊びかしら。見つめる酒井さんのまなざしの何と優しいこと!
漸く並び終わりました。
酒井さんも指揮台に戻りました。
井関さんがステージの状況を説明していきます。
「ブ~~。2ベルが鳴り終わりました。第2部の開始です」
「閉まっている緞帳が、少しずつ上がっていきます」
「はい、あがりました」
酒井さんのタクトが振り下ろされ、演奏開始。
曲が進むにつれて、酒井さんのボルテージがあがり、明らかに本番ステージの表情に変わっていきました。今回はスタッフも全員所定の位置について歌っているので、その表情を記録することはできませんでしたが、きっと多くの人の心に刻み付けられたに違いありません。
自信がないと言っていた人も、楽譜から目を離し、そんな酒井さんに導かれるように歌っていきます。
子どもたちは、初めて聞く空襲警報の音、軍服を着た怖い軍人が「殺せ」と命令する声、動物たちを撃ち殺す銃声にもたじろぐことなく、しっかりと前を向いて座っています。
やがて、教会の鐘の音が鳴り響き、子どもたちが立ち上がりました。
さあ、子ども議会の始まりです。
さっきは寝起きの声だった子どもたちですが、今回はしっかりと午後の声に変身して「ハイ」「ハイ」「ハイ」「ハイ」「ハイ」「ハイ」…
いいぞう。みんな元気!
「静かにして下さい」と制する議長のFちゃん。いっぱい緊張もしていたでしょうに、なんとカッコイイこと!
この子どもたちの声に励まされ、9番、10番、11番と、一気に走り抜けていきました。
「わ~~~~~~い!」
酒井さんがタクトを降ろしました。
わき起こった拍手は、酒井さんや遠藤さん、嶺井さん、眞塩さんへの感謝と合わせ、ここまで一緒に練習を重ねてきた合唱団員の仲間への拍手でもあったのでしょうか。
11月から今日まで17回。寒い中、暑い中、本当によく頑張ってきました。
寺ちゃん、本ちゃん、U佳ちゃん、Wちゃん、合唱サポートのHちゃん、今日は仕事で来られなかったホープちゃんも含め、一人ひとりの子どもたちの状況に合わせ大奮闘してくれた子ども係には、とりわけ大きな拍手が送られました。

さあ、いよいよ本番です。
気が付くと、雨はすっかりあがり、ピカピカのお天道様が出ているじゃありませんか。これは吉兆!
チケットも、みんなの力で、ついに満席となりました。やったあ!
本当によく頑張りました。今回もホールいっぱいのお客様の前で、私たちの想いを届けることができますね。
〆は、遠藤さんに続き、我らがマエストロ酒井さんから。
心を込めて2つのお願いが話されました。
一つ目は、本番までの間に、一度は楽譜を広げ、ちょっとでも譜面を見てほしいこと。特に3番、日本語が分からない人にもどうやったら通じる表現になるのか。そして11番、何度も繰り返されているけれど、P78から「いのち」を歌うところ。この作品の真骨頂ともいうべきこの部分ををどれだけ伝えきることができるか…
さあ、酒井さんがこれだけ足掻いているのです。私たちも同じように最後まで足掻いて、悔いなく歌い上げなければなりませんね。
酒井さんからのもう一つのお願い。それは体調にはくれぐれも気をつけてほしいこと。
本当にそうですね。今年の梅雨は激しい雨と猛暑の繰り返しとか。
最後の一週間も暑くなりそうです。これだけ頑張って練習してきたんですから、みんなでしっかりと体調を整え、本番に向かいましょう。
2025型式ぞうれっしゃ、本日最後の駅を出て、間もなく終点に到着します。
釜焚きメンバーは、前回の公演から、ざっと数えても100回、時間にすると300時間は下らない釜焚き会議を重ねてここまできました。
無事に終点にたどり着き、客車から皆さんを降ろし、ゆっくりと車庫へ向かえるように、もうひと踏ん張りです。
きっと想像を超えるような、すごい本番が待ってますよ!
ほんじゃ、22日、埼玉会館で🙋♂️
みんな、明るく元気に来てね~!
Text by あのじ
Photo by くのいち、U子、あのじ