鬼の目にも涙、涙。。

 前日の夜。スタッフは仕込みを終え、軽く食事をし、「私たちも、今日はきちんと寝なきゃね」と、解散。


 家にたどり着いたあのじを待っていたのは、「チケットありますか」のFAXと、メールでありました。
 まずい!昼間に問い合わせあったんだ。待ってるんだろうな。こんな夜遅くFAXで返事なんかできない(汗・汗・)


 あっ、でもこのFAX途中で字が切れてる。あっ、なんかどっかの小学生みたいだ。電話番号は、かろうじて読めるぞ。よかった。でも、これは明日の朝確認の電話するしかないなあ。
 メールは?東京からか。「当日券2席分ありますか?見込みでいいから教えて。行ってみて、満員では入れなかったら困るから」だって。
はい、まだ、残念だけど、い〜っぱいありますよ。これは、メールだから返事書けるな。 でも、これも問い合わせが昼間で、これから返事しても見てくれないかな。


 なんてぶつぶつ言いながら、最終チケットの見込みの算段と対応を考えていたら、あっという間に時間が過ぎて・・
 まずい。寝なきゃ。明日のエネルギー蓄えなきゃいけなかったんだ。
 と、横になったはいいけれど・・・


 ブ〜〜ン、と怪しげな音とともに、あのじにまとわり付いたのは、なんと、あのにっくき蚊ではないの!


 「やめてよ!あたしは寝なきゃいけないんだから。明日なら許すから、今日はやめて!」
 必死にお願いするあのじをあざ笑うかのように、あっちに飛び、ちくっ、こっちに飛び、ちくっ!
 う〜〜。いったい何箇所させばいいのよ。とっとと刺したら、早くどこかへ行っておしまい!と、むだに奮闘すること2時間余り。
 あっちたたき、こっちたたき、ぼりぼりかきまくりながら、疲れ果てて、あのじは漸く寝入ったのであります。ZZZ・・・・


 で、朝になったらしく・・
 り〜ん、り〜ん。電話だ。早く出なきゃ。しまった、寝過ごしたか!
 うん? 今、何時だ? えっ、6時10分?
 「あのお、朝早くからすみません。」なんだか、年配のご婦人のようだ。
 「どうされましたか?」
 「今日のコンサート、行けないと思っていたんですけど、行けるようになったので、チケットほしいんですけど、どうしたら買えますか?」
 「ありがとうございます。お名前は?」「はい、では、それで受付にご用意しておきますので、そこで精算してお受け取りくださいね。」
 「ありがとうございました。どうしたらいいかわからなくて、こんなに朝早く電話してしまいました。すみません。」
 「いえいえ、いいんですよ。ご連絡ありがとうございました。どうぞお気をつけて、お越しください。みんなで待っております。」


 あっ、またメールがきた。
くのいちさんからだ。「朝日に載ってたよ。」だって。お〜、やっと載ったか。


 これは、なんだか、チケット動きそうだぞ。ちゃんとチケット精算の体制を厚くしなきゃ、まずいかも。


 なんて考えながら、朝ごはんを食べ、待ち合わせたスタッフと合流し、いざ、出発!
 いいお天気になってよかった。


 9時半には、次々とみんなが集まってきて、チケットの精算をすませ会場へ。
 あっ、これはすごい。1100枚は行ってるみたいだぞ。みんなよく頑張ったね。U子さん、とりあえずの現金集約どうかな。早くみんなに知らせてあげたいね。


 そして、ホワイエでは・・
 ふのじさんが、それこそ仕事もそっちのけで、2日間徹夜で仕上げてくれた展示の前は、いっぱいの人だかり。
 すてきだったね。1000枚もあった写真の選別だけでも、いったいどれだけの時間がかかったことやら。ふのじさん、ほんとにお疲れ様。
 近田さんのコーナーでは、初めて急逝を知って衝撃をうけた人もいたようでした。
 
 
 みんなで元気にあいさつをし、恒例のストレッチも済ませてから、舞台へと移動。ゆっくりと列を作って舞台にあがっていく子どもたちの後姿のなんと可愛かったことか!


 音も光もいっぱいチェックが入り、その間も、子どもたちは健気に頑張り続け、もう、全員抱きしめてほおずりしたくなるような1時間半を舞台の上で過ごしました。
 

 その後のことは、あのじはほとんど外回りだったので、中の様子は、みんなから聞かせてね。


 そうこうしているうちに、12時半ころ、いきなり入り口に見たような顔の方が現れて・・
 Bちゃんが「青島さんです。あのじさん」と連れてきてくれました。
 えっ?楽屋口じゃなく、ホール入口からですか?
 「ここは、NHKのコンクールとか、よく来たんですけど、少し変わりました?わからなかったので、ホールから入ってきました。楽屋はどこですか?」
 「あっ、はい。ただいま早速ご案内します。このたびは〜〜〜」と挨拶しながら楽屋へ。
 楽屋に到着し、簡単に打ち合わせをした後は、青島さん担当のS姉にバトンタッチ。あとはよろしく!


 で、取って返して・・
 1時前には、可愛いピエロ隊もスタンバイ。よし、いってらっしゃ〜い!暑いから時々戻ってきて、水分補給を忘れずにね。青年隊もフォロー頼むよ!


 今回は、1時半頃までは、そんなに列の動きがなかったのに、そこをすぎると、どんどん人が増えてきて、ピエロ隊は大忙し。
 会場整理の隊長もやってくれているKさんが、駆け込んできて、
 「あのじさん、うちのチラシありますか?」
 「えっ、なんでチラシなんかいるの?」
 「実は、ピエロ隊の姿を見て、通りすがりの人がなんだろうって見ていくんです。チラシまいたら、来てくれるかもしれません。」
 「まあ、じゃあ、これお願い。」
 「はあい。」と、その場にあったチラシをもって、Kさんは急いで走っていきました。
 それにしても、Kさんの適切な判断と、ピエロ隊(&青年隊)の奮闘は、すばらしかった。
 並んでいるお客様をお迎えすることはもとより、通りすがりの人も呼びこんだなんて。 
チラシを見て、行ってみようかと思って当日券を買ってくれた人が何人もいたそうです。もちろん、新聞の宣伝記事もあったからかもしれないけど、当日券だけで、50枚近く売れたんだよ。やった〜!
「あのじさん、次回は、表の通り道にもう一つ看板あるといいかもしれません。」はい。


 続々とお客様が入場し、いよいよ1部の開始。
 遅れてやってくるお客様に対応しつつ、ホワイエのモニターで見ていると、青島さんの軽妙なトークと、小野さんのすばらしい声に魅了されたのか、会場には小さい子どもたちもいっぱいいたのに、全然騒ぐ様子が感じられません。すごく集中して会場が一体になっているようでした。あっというまに45分間経過し、青島さんは、しっかりと、2部のぞうれっしゃに話をつないでくださって、1部は終了。


 さあて、いよいよ、出番だ。子どもたち、ちゃんとおとなしく「へんな廊下」で並んで座って待っててくれてたね。おとなから入るからね。もうちょっと我慢できるかな。
 並び終え、本ベルがなり、幕が上がる前に、影アナのHさんが、出演者の紹介を始めました。一人一人紹介されるたび、みんなで「がんばろう」って励ましあえてよかったね。
 

 で、幕が開いて・・
 どこからか、わ〜〜というどよめきが聞こえました。まさに、会場を埋め尽くしてくれた大勢のお客様と舞台の上とが一体になった瞬間でした。


 「サーカスだ、サーカスだ、サーカスがやってきたぞう〜〜〜」
 なんと見事な子どもたちの声!
 ここですでに、うるうるしているお客様発見。よし、これで大丈夫だ。いけるよ。
 後のことは、書くことはないよね。依田さんの指揮に、みんながぐんぐんひきよせられ、それがひとつになり、会場全体に届いているのが、はっきりわかったよね。


 もう、子どもたちは、ほんとにすごかった。脱帽です。「いっぱいぞうを聞いているけど、川口ぞうの子どもたちは、日本一すごい。」と書いてくださったアンケートもあったよ。
 ブラボー!!競争しているわけじゃないから、日本一じゃなくてもいいけど、「とってもがんばったね」ってほめてくださったんだね。きっと。子どもたちのセリフも、ソロも、それはそれは、すてきでした。
 

 おとなも負けずにすごかった。特に、これもアンケートにあったけど、男声陣の頑張りには驚かされ。きっと、近田さんも現れて、一緒に歌っていたんだね。園長代役やってくれたKさんは、ここでもMちゃんを負ぶっての出演と相成った次第。
 
 今回は、会場で一緒に口ずさんでいるお客様のなんと多かったこと!

 
 アンコールに入る前に、モリヤンがきちんとご挨拶して「今度またやるからね」と、お客様にアナウンスできてよかったね。
 モリヤンはね、本当にその場になるまで、何を言うか決めていなかったんだって。自然に出てきた言葉だったんだね。きっと。舞ちゃんのこともね。舞ちゃんがんばったもんね。最後まで大和さんに練習をつけてもらいながら、役作りに集中して・・お母さんぼろぼろ泣いてたっけ。一緒に盛り上げてくれたしばやん、小田ちゃん、竹ちゃんも、いつもいつもありがとう。


 それからね、伴奏の大和さん、古田さん、大見川さん、みんなうるうるしながら最後の演奏していたそうです。これって、すごいことだ。うるうるしながら、音も下がらず、間違えず伴奏してくれていたなんて。


 「あんなに笑顔で合唱しているのは、初めて見ました。すてきでした。」
 たくさんのお客様から寄せられた言葉です。本番前に、依田さんがいいお顔のマネをしてくれて、それで始められたからかな。でも作った笑顔ではなく、心から笑顔を送ったから、伝わったんだと思うな。きっと。


 帰っていくお客様は、それぞれ、何を持って帰られたんだろうね。
 楽しかった。来てよかった。また来たい。歌い続けてほしい。今度は歌いたい。いろんな思いを持って帰っていかれたのかな。
 来てくださって、本当に本当にありがとう。


 それから忘れちゃいけないよね、元団員でスタッフを支えてくれた部隊もたくさんいたよ。スタッフが抜け落としていることを黙々とカバーして、がっちり守ってくれた皆さん、心から感謝してます。


 舞台監督の亀ちゃん一家の皆さん、いつも本当にありがとう。素人の私たちとプロの裏方をしっかりつないでくれて、安心して任せ切ってしまっていました。


 グッズもいっぱい売れたそうです。グッズ隊のみなさん、連日連夜、本当にご苦労様でした。


 あのじは、あいかわらず、最後の詰めが甘く、いろんなところに不行届きがありました。気がついたことは、平謝り。気がつかなかったことは、・・・
 失礼の段、この場を借りて、心よりお詫び申し上げます。


 最後に、チケットのご報告。
 昨夜遅くの確認で、なんと・・・じゃ〜ん!1300席超えました。
 みんな、お見事!
 本当によく頑張ってくれたんだね。鬼のあのじは、しゅるしゅるしゅると角を下げ、元のあのじに無事に戻ることができました。感謝、感謝!


 それで、依田さんったらね、「次回やることを前提に、長期的な組み立てを考えませんか。」ですって。それって、団員への最大のほめ言葉と考えていいですよね。
 終わった後の依田さんの声は、がらがら。ん?歌わなかったのに、どうして?
 「うんと小さい声で歌ってると、かえってこんな風になっちゃうんですよ。」
 そうですか。愛する依田さんの表情を、みんな穴の開くほど見てましたからね。おかげでみんな歌い切ることができたんですから。
 どうか、早く治してくださいね。
 それから、それから、大和さん、古田さん、大見川さんも、みんなとまた一緒にやりたいんですって。やったね!


 そんなこんなの話は、同窓会で話そうね。まだ日にちは決まっていないけど、団員のYさんが、おとなも子どもも遊べる「つながりあそび」をリードしてくれるんだって。
 Yさんはね、スタッフは誰も全然知らなかったんだけど、ゆずりんや二本松さんがやっている「つながりあそび・うた研究所」の所員さんだったの。「能ある人は、爪を隠さず、爪出してね」って、前にみんなにお願いしたのに応えてくれたんだね。
 ぜひ、ぜひ、よろしく!


 で、みんなにお願い。早いこと感想をはがきに書いて出してね。はがきで足りない人は、何でもいいよ。はがきに書いてあるあのじの住所に送ってくれればいいからね。メールでもいいんだよ。


 じゃあ、待ってるからね〜!(とりあえず完?)

                          Text by あのじ