わあ~い!!

2023年7月23日

関東地方は、前日が梅雨明けだったそうな。

(えっ、まだ明けてなかったの?)

そう思ったくらい7月に入ってからは暑い日が続く中、熱い練習をつみ重ね、ついに本番の日を迎えました。

朝一番にみんなの胸に去来したものは、どんなことだったでしょうね。
ようやっと本番を迎えられる嬉しさ、誇らしさ、緊張感…
一抹のさびしさを感じた人もいたことでしょう。

8時半

くのいちさんとあのじは埼玉会館へ向かいました。
ホールの搬入口では、鍵あけを待つ舞台関係のスタッフさんたちが早くも勢ぞろい。
「おはようございます。今日はよろしくお願いいたします」
そんなご挨拶をして、楽屋入口へ。

9時少し前

楽屋入口付近にも、たくさんの団員スタッフの姿がありました。

今回は部活があって練習に出られないので、本番は歌わずにお手伝い組に入ってくれた中3のYi君もパパと一緒に来てくれました。
ママからは「せいぜいYiをこきつかってやってください」って連絡を受けていたので、よおっし遠慮なく(笑)
Yi君以外にも、Yu君M君兄弟がパパと一緒に待機し、それに団長のひろ君も加わって、中高大生そろい踏み。
ああ、この子達、ほんとに小さい時からいっぱいやんちゃして怒られて、それでもニコニコやってきて、それがみんなパパの背を超えて会場設営のメンバーまで担えるようになるなんて…
もうそれだけで、ウルウル。
いかんいかん、こんなところで泣いてちゃ。

9時

くのいちさんが受付で鍵を受け取りました。
「はあい、皆さん、それではホワイエの方へ移動してください」
ぞろぞろ入っていきます。
まずは、まのじさんから舞台設営とホワイエ設営についての大まかな動きの説明がありました。

  

あとは、それぞれ必要な作業を開始。
あ、柴ねが作ってくれた客席や楽屋貼り紙、貼りにいかなきゃね。
そうこうしているうちに、渋滞に巻き込まれていたシバやん車が到着。
たくさんの荷物があるから、若者隊みんなで行って運んできてね。楽屋の飲み物もすごく重いから気をつけて。置き場所は、くのいちさんの指示を受けてね。

ホワイエは、ふのじが総監督。
今回、一番苦労したのは、どこかしら?
がんばれ、がんばれ!

   

  

 

子ども達が作ってくれた折り紙、一つ一つ丁寧にパネルに貼りました。

    

ホワイエは、少しずつ明るく胸はずむ空間に変わってきました。

      


ぞう旗ももちろん飾りました。
何を思ったか、子ども係も兼ねる3人娘、突然その前で手をつなぎ、組体操開始。ピ~っ!(笑)
ここは、その後も完全に撮影スポットと化しました。

   

そんなこんなしながらも、ホワイエが完成。

表看板もこんな風に出来上がりました。
このかわいい子ども達の絵は、今回参加できなかったSさんが、わざわざ前日にあのじの家のポストに届けてくれたもの。ステージに乗る団員だけではなくこんな風に応援してくれる人たちの想いも重なり合って、本番が形作られていったのです。

 


11時45分

弁当屋さんが来ました。舞台スタッフさん達に食べてもらうためのお弁当です。楽屋の方にお願いしましょう。

12時

プログラムにチラシを折り込む作業開始。集合時刻よりも早く来て、すでに受付を済ませた人が何人も手伝ってくれました。

12時半

団員集合時刻となりました。

「みんな、集まれ~!」
ひろ君が声をかけてくれました。

「3人、まだです~」
「え~っ」
「どうしたのかしら」
名前を見ると、いつも仲良し3人組。
どうやら、3人とも集合時刻を1時だと勘違いしていたようで(笑)
「すいませ~ん」と駆け込んできた様が、なんともかわいらしかったこと!

そんなこともありましたが、とりあえず全員揃いました。
残念ながら一生懸命練習してきたのに、体調不良で参加できなかった人が2人。
いつも椅子を並べてくれていた健ちゃんと、もぎりのリーダーをお願いしたOさん。
ここまでがんばってたのにと、さぞや無念だったに違いありません。そんな二人の想いも乗せて一緒に歌いますからね。

舞台監督の井関さんからの話や当日の動きの確認。

 

各パートのリーダーさんをご紹介した後は、客席移動までには少し時間があったので、皆さんにはホワイエで自由に展示物をみてもらうことにしました。

     

子ども達が次々と団長のひろ君に甘えて駆け寄っていきます。
かつては甘える側だったひろ君が、今は甘えられる側で子ども達を優しく見つめている…
ずっとやってきたメンバーは、バタバタ動きながらも、こういう場面に立ち会える喜びもしみじみと噛みしめていたのであります。

  

13時15分

「はあい、集まってください!」
パートごとに荷物を持って客席へ移動していきました。
先頭と最後尾は、さっき紹介したリーダーさん達。

13時半

改めて井関さんからの話が終わって、いよいよリハーサル開始。まずはステージへあがり板につきます。今なら飲み物も持って行っても大丈夫。
15日の練習の時には並べなかったスタッフも入れていただいて…(すみません、おじゃまします)
思ったよりもステージは暑く感じられました。
子ども達、大丈夫かな?

酒井さんが指揮台にあがりました。
子ども達は、酒井さんの指揮者姿が珍しかったと見えて、なんだかんだ言うのが聴こえてきました。

さ、がんばろう!
ピアノの音と共に
「サーカスだ、サーカスだ、サーカスがやってきたぞう」

緞帳があがっていきます。
あれ?
 「最後はぞう~~~って延ばさないでね」って、酒井さんのお願いあったよね。頼むよ~、子ども達。
大人も少しドキドキしてきました。
緞帳の開くタイミングもあるので、ここはなんどか繰り返し確認して、と。

次は2番。

本番の衣装を付けた少女が出てきました。かわいい髪飾りは園長さんのお連れ合いお手製のつまみ細工。それをまのじさんが衣装と合わせてこんな風にアレンジしてくれました。

   

3番以降も、何度か気になる所を返しながら、流れていきました。
子ども達はちょっと疲れている様子。
リハーサルが終わったら、ゆっくり休もうね。
音響さんは、前回の練習の時にタイミング等は確認ができましたが、照明さんは、どんな場面でどんな色になって客席から見えるのか、このリハーサルでしか確認できません。緊張が走ります。

そんなステージを支えてくれていたのが、自らチケットも買いながら、全部見られないことを承知で来てくれる協力スタッフさんたちでした。
本当に感謝してもしきれない人たち、この人たちがいなければ、本番は安心して歌うこともできません。
その協力スタッフの打合せは、リハーサルの裏で、すでに始まっていました。

3時

団員がリハを終えて楽屋へ移動している頃に、少しずつお客様が受付外に集まり始めました。受付の外にも椅子があるので、まだ少しお待ちいただけるかな。

3時45分

開場までにまだ45分あるし、今回は暑いせいかそんなに早くから足を運ぶ人が少ないようだけれど、一挙に膨らむかもしれません。そうならないように、ホワイエの中に入って3列で並んで開場を待っていただきましょう。並ぶのが辛い方には椅子をお勧めしてね。
モギリや花束受付も準備できたようです。にこやかに明るく!

    

4時15分

やはり想定していたとおり、お客様が一挙に並び始めました。まだ舞台監督の指示は下りてきません。会場内の安全を考えるとその指示がなければ開場することもできず「すみません、あと少しお待ちください」というしかありません。
列を整理する係から伝令がきました。「もう蛇行させても会館の外に出てしまいそうです。早く開けられませんか」

それを聞いて、急ぎ別の伝令を飛ばしました。
「あとどのくらいで開けられますか?」
「4時半ジャストです」
ああ、もう少し頑張らなくては…

4時半

「お待たせいたしました。開場します」
まずは、危険のないように車いすでお待ちの方から。

「ようこそお越しくださいました。どうぞごゆっくりお進みください」

一斉に、けれども慌てずに、次々とお客様が客席に向かいます。
チケットはおかげ様で満席完売。1週間前からチケットコントロールをし、当日券も販売しないことを決め、2階席も最初から開けることとしていたので、恐らくは混乱することがないはずと思ってはいるものの、一抹の不安がよぎります。
しかしそこは、黄色い腕章をつけた会場係が見事にさばいてくれて、混乱なく客席が埋まっていきました。

5時

上手の客席ドアから「ちんどんバンド☆ざくろ」の皆さんが賑やかに登場。
待ってました!

ここからの2時間、どんなに会場全体に心豊かで濃密な時間が流れたことでしょうか。

第1部の最後に、ざくろさんたちはサーカスの定番曲である「美しき天然」を演奏し、第2部のサーカスの場面へとつないでくれたそうです。

15分間の休憩をはさんで、第2部へ。

いよいよ私達の出番です。

並び終えた緞帳の内側では、心なし青ざめた表情も見受けられました。
大丈夫!酒井さんを見ていたら、絶対に歌えます。
だって、なかなか練習に集中できず、一番怪しかったスタッフも、リハーサルですっかり自信を持てましたから!
ステージの上はすべて準備が整っていたのに、いろいろと確認事項があって、なかなかスタートの合図が送られなかった間も、酒井さんは気持ちをほぐすように、優しく微笑み、ここまでの練習で育んできた信頼感が、ステージ全体を大きく包み込んでいきました。

さあ、緞帳があがり、ピアノの音が始まりました。

「サーカスだ、サーカスだ、サーカスがやってきたぞう!」

わあ、子ども達、なんて素晴らしい。
何回も何回も練習の時に酒井さんにお願いされたことが、本番では完璧にできたではありませんか!
リハーサルの時の不安が一挙に吹き飛んでいきました。
酒井さんは、本当にうれしそうに、何度も👌の合図を子ども達に送っていました。
よし、これでもう大丈夫。

最初の曲を歌い終わったとたん、拍手が沸き起こりました。
その勢いに乗って、2番から11番まで、どんどんとボルテージがあがっていきます。

ピアノ遠藤さん、フルート嶺井さん、クラリネット眞塩さんは、最高のコンビネーションで合唱を支えてくれました。
少女のソロも園長のソロも、圧巻でした。
軍人も猟友会も、しっかりと役割を果たしてくれました。

そして、何よりも子ども達!本当によく頑張りました。
出だしから最後まで、疲れていたであろうに、リハーサルのときの心配をものの見事に吹き飛ばし、酒井さんのお願いに応え、お客様全員の心を鷲掴みにするような、それはそれはすばらしい歌声でした。
終演後、たくさんの感想が寄せられていますが、どれもが子ども達のすばらしさに拍手を送ってくれています。

支える側の大人も同じです。
本番直前のリハーサル室で、3部に分けての最後の練習を経て廊下で待機していた時の、なんともやり切った顔、顔、顔…

  

本番も楽譜がなくて不安だと言っていた人も合わせ、終わってみれば楽譜も見ないで、みんなが酒井さんの棒に声と心を託して、全身全霊で歌い切りました。

クライマックス、子どもたちの「わあい!」が弾け飛んだとたん、会場中から万雷の拍手が鳴り響きました。

それを受けてのカーテンコール。
伴奏、キャスト、子ども達、ベース、テノール、アルト、ソプラノの紹介にたくさんの拍手が送られました。

それに続き、酒井さんの呼びかけに応え、スタッフ側を代表してあのじが前に出ていきました。これまではコンサート本番で前に出ることをよしとしていませんでしたが、酒井さんのスタッフへの厚い信頼がずしっと伝わり、文字通り心を繋ぎ一体となってこのコンサートが創り上げられてきたことを共に歓び合いたいと思ったからです。

拍手が鳴りやまない客席を向いて、酒井さんが語り始めました。
「この11曲を全力で演奏して終わるつもりで、全くアンコールは予定していませんでした。しかし…」
酒井さんから、急遽団員に向かって、「一番大切なメッセージを伝える11番、~こどもたちの笑顔が~と大人が子ども達に呼びかけるところから再度歌ってフィナーレとしましょう」ということが伝えられました。

その途端、誰もが驚き、そして嬉しさで胸がいっぱいになりました。
第1部を飾ってくださったざくろさんたちも、モリヤンの呼びこみに応え、それぞれの楽器を持って、再登場。
予定もしていなかったアンコールに会場中が沸き立ち、子どもたちの大歓声が響き渡る中で、静かに緞帳は下りていきました。
ああ、本当に本当にたくさんのお客様と一緒に、歌えたんだ!
酒井さんとのハグで、これまでのことが走馬灯のように脳裡を駆け巡り、大変な時に一生懸命支えてくださった方や、心繋ぎながらもこのステージに乗れなかった方たちのいろいろな顔が浮かんできました。
ほうら、ご一緒に歌いましたよ!
たくさんの拍手をいただきましたよ!

興奮冷めやらぬまま、2023型式川口ぞうれっしゃは、無事に終点にたどり着き、芝園の車庫に入りました。
しばらくはメンテナンスに時間をいただきますが、この機関車、経年劣化で相当傷んでおりましてね。
果たしてこの先どうなるのでしょうか。
川口ぞうの運命やいかに!(べべん、べん、べんっ)

でもね、今回は大きな収穫もありました。
最初にご紹介したように、川口ぞうが始まったころは生まれてもいなくて、小さかった頃に親に連れられぞうにやってきて、時にはさんざん怒られながらぞうで育った子ども達が10代、20代の青年になり、その子達が自発的に今回のコンサートの成功のためにキビキビと動いてくれるようになったことです。

また、明るくお目にかかれる日が来るといいですね。
それまで皆さま、どうぞ元気にお過ごしくださいますよう。
じゃあ、またね。

Text by あのじ
Photo by くのいち ホープ森山 U佳 U子 K子 ひろ あ