ここで また あおうね!

2023年9月10日

待ちに待ってたこの日。
前々日に関東地方を襲った豪雨は、日常生活も生業もすべてを押し流していったけれど、だからこそ、被災地に想いを馳せながら、元気に集まれる幸せな時間を大事にしなければね…

事前に集まった参加予定は、なんとまあ100人を超えちゃった!
来られない人も泣く泣く「参加したいけど、できな~い、残念」と熱いメッセージ付き。
驚くことに、本番のステージで歌えなかった人も、どうしても参加したいと言われて…
こんな同窓会は初めてのこと。それだけの熱い想いが集まろうとしてるんだね。

体育館で100人超えるんじゃ、これまでの同窓会のようにゲームで遊ぶこともできないし、小さいグループを作るのも難しい。どうしようか。
スタッフは、う~んと唸りながらみんなで一生懸命話し合ったけれど、結局、「ま、会場の設営だけ確認して、その場の進行は集まってきたみんなの様子で決めるしかないよね」の結論に(笑)

そんなこんなでバタバタ迎えた同窓会。

午前9時前
「おはよう!」
「暑いねえ」「湿度高いよねえ」
もう、情けないけど、最近のご挨拶は、これしか出ない💦
階段を上がって、まずは窓開けから。
椅子は、わのじさんが、いつもと違う形できれいな半円にセッティング。
扇風機の位置も、みんなに風が行くように、ちょっと工夫しなきゃ。

  

あ、シバやんSが大荷物運んできたぞう。
ぞう旗、プログラム、DVDセット、こあ、決算書…
重かったでしょ。ありがとう。
「ごめん、着いていきなりで悪いけど、マイクと本番の音楽CDセットして流してくれない?」
「あいよっ」とシバやんはフットワーク軽く音響設備のある舞台の方に向かって行ったんだけど…
あちゃあ!
「大変、マイクが分解されてる~」「ピアノも開けっ放しで鍵盤のカバーも半分外れてるよ」「CDかけても音が出ない」etc.
シバやん苦心惨憺。そこにモリヤンも加わって、えんやこら。

その間、女性陣は柱の壁や肋木を使っての飾りつけ作業。
3年間の停車期間中に、スタッフが一生懸命みんなをつないできた「こあ」の冒頭ページ、これをU子さんが鮮やかな色彩で模造紙にまとめ…
100枚も集まったお客様アンケートは、柴ねさんが全部データで打ち込み、そのほかにぞうのメールに届いたものは、まのじさんがきれいにレイアウト印刷してくれて…
それらが貼り出されていくのを見ているだけで、いろんな場面が甦って涙ぐみそうになるけど、ここは我慢我慢…

 

あ、マイクつながった!
あ、1番が流れてきた。ああ、よかった。これで集まってくるみんなにも本番の演奏を聞いてもらえるね。ホッ。
シバやん、もりやん、お疲れ様!

9時45分
「わあ、お久しぶり!」
「元気だった?」
「すごい本番だったねえ。ほんとに」
暑い中、あちこちで、50日ぶりの再会を喜び、あの日の感動を確かめ合う姿が広がって…
受付終わっても、お話に夢中になって、DVDセット引き換えるの忘れないでね(笑)

わあい、酒井さんがやってきたぞう。
あ、嶺井さんも発見!
「おはようございます!」
「遠藤さん、先ほど連絡あって、体調崩されたようで。楽しみにしていらしたんですが、ごめんなさい。皆さまによろしくと」

10時
あちこちで話に花が咲いているようだけど、そろそろ始めようか。
「皆さん、お久しぶりです。お元気でお過ごしでしたか」
まずは、あのじからご挨拶。
この間、スタッフの周りでは、次々とコロナ感染が広がり、今となってはあの本番が無事に終えられたこと自体が奇跡だったとしか思えないこと、今日こうやって、本番には出られなかった人も一緒に集まって同窓会を開くのは、川口ぞう始まって以来の事で、しかも100人を超える人が集まると言われて本当に驚いたこと、それはとりもなおさず、練習から本番にかけて、酒井さんに導かれ、みんなの想いが一つになって酒井さんの指揮棒に向かったからこそ実現したと思うこと、などなど。
聞いてる誰もが、ほんとに明るい笑顔で、ああ、みんなこの日を随分と心待ちにしてくれてたんだなあと思うと、しょっぱなから鼻の奥がつ~ん!

次は、くのいちさんからの決算報告。
「ステージを創り上げるためにはいろんなお金がかかったけど、みんなが最後まで一生懸命声をかけてチケットを1枚1枚売ったおかげで、こんな結果になりました」本当にそう。当初予定の川口市助成金が少し減らされたのは残念だったけど、それはチケットがたくさん売れた結果だから、みんな誇っていいよね。

決算報告も無事に終わり、さあて、これからはギターを持った渡り鳥、歌う軍人シバやんに進行はお任せ~。
いきなりギターをかき鳴らしたかと思うと、
あらま「♪髪の毛が薄いと許されないなら~~」なんて、まあ自虐的な。
「戦争を知らない子ども達」の替え歌から始めるのね(笑)

「じゃあ、みんなで乾杯しようか!水筒のない人は、エアー水筒用意してね」
「もりや~ん。乾杯の発声、お願いします」
もりやん、しずしず(?)登場。

「みなさん、酒井さんの素晴らしいご指導で、こんなにも感動的なコンサートを一緒に創れてほんとによかった。がんばったね。乾杯!」
かんぱ~い!
かんぱ~い!
大人に交じって、かわいい声も聞こえます。
恐らく、いろんなところで乾杯する場面があるだろうけど、水筒での乾杯って、きっとないだろうなあ(笑)
でも、コロナ禍の中で成功させた喜びを分かち合うにはぴったりの形で、後々までに記憶に残る乾杯だったと思いません?


シバやん再びギターを手に取り歌い始めた曲は、「世界中の子どもたちが」
これは、学校の教科書にも載っていて、うんと前に川口ぞうでも手話をつけて歌った曲だよ。
「お~い、子ども達、前に出ておいで!」
「寺ちゃんもだよ~!」
シバやんの呼び込みで、一人、また一人と前に出ていき、恥ずかしそうな寺ちゃんも混ざったところで…
頑張った子ども達、そして寺ちゃんに、大拍手!
パチパチパチパチ👏👏👏

大きな拍手を送る大人と、照れながらも誇らしそうな子ども達がいて、一瞬にして体育館は幸せな空間に早変わり。
なんか、いいなあ。

 

一言ずつ感想やお名前を話してもらった後に、シバやんが持ち出してきたのは、毎回、子ども達の練習で随分と活躍してくれた、あの「けん玉」セット。
「ほら、お得意のあのワザ、やって見せて!」
お~。お見事!

 
最初は一人ひとりバラバラだったのに、こんな風にけん玉なんかやりながら、少しずつ仲間になっていった子ども達。遊びが、あの本番でのあの声を創ってくれたんだね。
今やしっかりと川口ぞうの一員になった子ども達の明るい笑顔は、大人達の心も温かく包み込み、何物にも代えがたい宝物となりました。

次に「若者たち」の曲に載せて呼び込んだのは、あの日、裏方で一生懸命がんばってくれた、中学生から20代までの正真正銘の「川口ぞうの若者たち」。
恥ずかしがって、何人か出てこなかったけれど、それもまた良し。無理して出てくることもないし、深いところでつながっているものね。
前に出てきた若者たちは、一人ひとり川口ぞうとの関わりや自分の想いをしっかりと伝えてくれて、小さかった時のやんちゃな彼らを知る大人の瞼は熱くなり…。
初めて少女を担ってくれたかれんさん、少女を歌ったことで、これからの生き方にもずいぶんと大きな影響があったそうな。

ほろりとしたところで、少し休憩。
「どうぞゆっくり寛いでください。よろしければ壁の展示もご覧くださいね。」
あ、さっきの若者連、勝手にギター借りて歌い出してる(笑)
みんな、一緒に歌っておいで!

 

 


11時5分 休憩終了。

後半戦は、頑張って練習したのに、当日はコロナに罹り来られなくなってしまったOさんの感想からスタート。
「Oです。私が初めて子どもと一緒にぞうを歌ったのは、酒井先生の時でした。今回も練習では素晴らしい酒井ワールドに触れ、本当に楽しく、本番をとても楽しみにしていたのに、コロナにかかっちゃって。モギリのリーダーも頑張ろうと思っていたのに…。ほんとに悔しくて、Wさん親子と打ち上げ兼残念会をしに、カラオケに行ったんです。そしたら、なんと歌集の中にぞうの10番が入っているのを見つけて、熱唱してきました!」
え~。カラオケに、10番が入ってるんですか😲
知らなかったなあ。
そっか、Oさん、こんな形でリベンジしたんですねえ。

みんなが目を丸くしているのを見たシバやん。
「はい、じゃあ、みんな立って、片手を挙げて」
おや、何が始まるのかしら?
「じゃんけんやるよ。僕に負けた人は座ってね」

 
5度目の対戦が終わって、立っている人が10人くらいになったところで、
「はい、今立っている人達はすごく幸運な人たちなので、前に出てきて一言ずつ幸運をみんなに分けてあげて!」
ぞろぞろ、ぞろぞろ
前に立った幸運さんたちは、それぞれ「お福分け」を果たすべく、その後も、フルートの嶺井さん、親子3代6人で参加したHさんご一家、男性陣からも初めて参加のOZさん、OOさんのお二人がそれぞれの言葉を紡いでくれました。
そのほかにも、病を克服しての参加となったKさん、初めて大人のパートに挑戦したHちゃんも、この日を楽しみに待っていて、元気に報告してくれました。

   

「今度はね、1回目からずっと歌っている人、手を挙げて」
はあい!
おやおやスタッフの数人だけね。
代表して、呼びかけ人の一人で、今は遠隔地に転居し、ポスター・チラシ作成はじめ、いろんな仕事を一手に引き受け、がっちり裏を支えてくれたスタッフのまのじさんから。
この33年間、決して軽々やれてきたわけはないけど、まのじさんにかかると、とてもふんわりと優しい気持ちになれて嬉しかったな。

今回の団員一人ひとり、130通りの参加の仕方があれば、130通りの想いがあって…
ああ、もうこんな時間になっちゃった。ほんとは集まった全員に、ゆっくりお話聞きたいけれど聞けない😢

本当に残念だけど、酒井さん、最後にどうぞお願いします。
酒井さんはゆっくり前に進み、
「皆さん、お久しぶりです。お元気でしたか?実は僕も、この間コロナに罹ったんです」(え~~!)
酒井さん、まずは子ども達に向かって、「本当に素晴らしかったね。ありがとう。」(またまた大拍手👏👏👏)
「そして、それを引き出してくれた寺ちゃんにも感謝です」
(またまたまた大拍手👏👏👏)
酒井さんは、川口ぞうの指揮を引き受けたときの気持ちや、練習をかさねて迎えた本番では、舞台を裏で支えてくれる人たち、これまでに川口ぞうをつないでくれた人たち、いろんな状況の中でどうしても一緒にステージで歌えなかった人たちの心もしっかりと受け止めて、祈りを込めて指揮棒を振り下したことを語ってくださり…
やんちゃな子ども達も、酒井さんの溢れる想いが伝わってきたのでしょう。誰一人騒ぐ子もいません。

 

「僕がこだわった3番。遠藤さんがいらっしゃったら、ここで弾いていただくのですが、あの前奏は、実は春に向かって行くメロディーなんですね。それが冬の街にと続いていく。一体どうやってイメージを創るか。お客様を白いキャンパスに例えたとしたら、20年前の僕は、前奏が終わった途端に全ての絵が描かれていることをめざしたでしょう。でも20年経って変わりました。白いキャンバスに一つひとつ色を置いていけばいいと。そしてそれを見事に大人の皆さんがやり遂げてくださった。本当に素晴らしかった。ありがとうございました。あの演奏は、皆さんが頑張ったから生まれたのです。」
酒井さんの言葉が胸に届き、この間の練習や本番のひとコマ、ひとコマが脳裡に浮かんできたのでしょう。あちこちで、うっすらと涙ぐむ姿が…

 

「時間が来ましたが、まだどうしても話しておきたい人、いませんか?」

「はい!」まっすぐに手を上げたのは、アルトのIさん。
「私は、1回目と2回目に家族と一緒に出ましたが、今回参加できて本当に良かったです。酒井先生に心からお礼をお伝えしたいと思います。来てくれた元参加者達も、前のものとは全く違う、感動して涙、涙だったと言っていました。ぞうれっしゃの意味が十分伝わったと思います。私は合唱をやっていますが、あこがれの先生のご指導を受けられ、素晴らしい演奏ができて本当に幸せでした。ご指導によって子どもたちの力が爆発的に引き出されることもわかりました。ほんとうにありがとうございました」

終ったとたんに、拍手とともに、ほおっと大きなため息が聞こえてきました。
そうです。みんなそれを酒井さんに伝えたかったのです。
前に立つと、ドキドキしてうまく言えずにもどかしかったんです。

時間がなくなったけれど、最後にスタッフから皆さんにお伝えしたかったこと。
今日お配りした「こあ」のタイトルにスタッフの想いを込めて…
「ここで また あおうね」
今日この場に集まった人全員が、また元気にここで会えますように!

同窓会はこれで終わり。
けれど、一言酒井さんに感動を伝えたかったのか、酒井さんを取り囲む輪が、しばらく途切れません。
しんがりは、本番が終わってから、都幾川へ引っ越したRちゃん。
「今度の学校には合唱部がなくてつまんない」というRちゃんに、酒井さんからとっても素敵な約束ひとつ…
「ゆびきりげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲~ます、指切った!」
はい、ちゃあんと見てましたよ。いつかその約束が果たせて、みんなにそのお話できるといいね(^^♪

この日、何人もの人とハグをし、ハイタッチをし、目を見交わして…
「本当はスタッフの皆さん、みんなに前に出ていただき、一人ひとり胴上げしたかった!」
帰りしなにこんな言葉もかけてもらえて、スタッフ一同、幸せ過ぎて返す言葉も見つかりませんでした。

23型式ぞうれっしゃ、この素敵な連結車両をつないできたすべての人に乾杯!

それじゃあ、またね!

Text by あのじ
Photo by くのいち、ホープ森山、U子、びん、まのじ