2022年3月27日 日曜日
この日をどんなに待ち焦がれていたことでしょう。
やっとやっと、みんなに会える!
朝一、窓を開けると、前日の嵐がピタッと収まり、雨もあがっています。
ああ、よかった。ホッと胸をなでおろしました。
2020年2月23日の練習以来、実に2年1か月も過ぎました。
信じられないかもしれませんが、スタッフだって、全員が顔をあわせるのは、あの日以来だったんです。
よもや、こんなに長く会えなくなるなんて…
いろんな思いが去来する中、あのじはぞうのパネルを大きな袋に詰め込んで、勇んで出かけていきました。
着いてびっくり、大慌て!
予定時刻よりも30分近く早かったのに、もう荒馬座の皆さんがいらっしゃっているではないですか!!
ご挨拶もなしに、「すみませ~ん」のお詫びから始まりましたが、その後は慌ただしい中にも、言葉に表せないような、まことに幸せな気持ちに満ちあふれた時間が流れていきました。
ぞくぞく集まってきたスタッフも、顔合わせを終えて、きびきび搬入を手伝い、会場設営へ…
感染防止第一。
まずは、すべての窓を開け放ちました。運び出したパイプ椅子や机、マットはすべて消毒。掃除機はU子さんが自宅から運んできました。
「入口と階段に荒馬座ののぼりを立ててもいいですか?」
「どうぞ、どうぞ」
ああ、いいですねえ。今にも祭りが始まりそうな雰囲気になってきました。
そうだ、私達の30年物の「ぞう旗」も貼りださなきゃ。
でも、どこがいいかなあ。
いろいろ思案の末、「ここ、どう?」「あ、いいね」ということで、2階と3階の階段の踊り場の壁に決定!
うん、これならきっとみんなが昇ってくる時も帰っていく時も見えるよね。
ここはちょっと届かないから、背の高いびんちゃんとしばやんにお任せしようっと。
「消毒の場所と、受付どうしようか?」
「パネル6枚は、ろくぼくを使って吊るせるね。」
ここも、びんちゃんとHさんのセンスでお願いね。
あ、うんうん、いい感じ!
少しずつ、会場が整ってきました。
座席の配置も、とっても落ち着きました。
ここにみんなが座る様子が目に浮かんできて、ちょっとウルウル…
リハの太鼓や笛の音につられて、誰もいないことをいいことに、ちょこっと飛び跳ねちゃいました。(あ、すんません🙇あのじだけですからね。)
整ったところで、全員集合!
荒馬座の皆さんと、今日の流れの最終確認も無事終了しました。
もう、会話の一つ一つが楽しく、笑ってばかりで、なんだかネジが何本も飛んで行ってしまったような気分です。
そうこうしているうちに、12時45分になりました。
外を覗くと、すでに何人も入口に集まってきてくださっていたので、予定より早く開場することとしました。
そのあとは、もう懐かしくて、懐かしくて…
皆さんが、スタッフの呼びかけに応えて、感染に気をつけながら、パネルを眺めたり、あちらこちらで、静かな声で再会を喜ぶ姿がありました。
「え~~~、こんなに大きくなったの?」「え、君がK君?」
会場に入る子どもたちの姿に、大人はもう驚くばかりです。
子どもたちの成長ぶりが、2年間の空白をしっかりと物語っていました。
あ、大人もきちんと成長していたこともお伝えしなければね(笑)
13時半
しばやんの軽妙な司会が開会を告げました。
まずは、あのじからご挨拶。
皆さんにお伝えしたかったたくさんの想いがあって、そして真剣な眼差しでその想いを全身で受け止めようとしてくださった皆さんがいて、胸がいっぱいになりました…
残念ながら仕事があって駆け付けられなかった指揮者の酒井さんと舞台監督の井関さんからの熱いメッセージは、モリヤンが代わりに読み上げました。
メッセージからは、これからも一緒に進んでいこうとしてくださっているお二人の姿がくっきりと浮かんできました。
本当にありがとうございました。
さて、いよいよ荒馬座の出番です。
「どうぞ~~!」
しばやんの陽気な前口上に促され、みいちゃん、みえちゃん、なおちゃん、びんちゃん(ぞうのびんちゃんじゃないよ)、しまちゃんの5人が元気に登場!
まずは、軽快な水口囃子からスタート。
みんなの体がお囃子に誘われ、次第に乗ってきました!
獅子舞では、頭を噛んで厄を払い、幸せを呼んでくれる場面で、子どもたちが真顔でおびえる姿もあって…
真ん中のあたりにいた大人は、2回も噛まれてラッキーと微笑んでいましたがね(笑)
今回は、ソーシャルディスタンスで、獅子が客席に入れなかったことが幸いだった子も、随分といたそうな…
続く荒馬踊りは、自分の子どもが荒馬座に指導してもらい踊ったことがあるという人が何人もいらしたようです。
エネルギッシュな踊りに合わせ手拍子でリズムをとりながらも、きっと、みんな心の中では、「ラッセーラー、ラッセーラー」の掛け声を掛け続けていたに違いありません。
そして、ソーラン節。
私たちもかつて本番で踊ってきた曲です。
「川口ぞうれっしゃ希望丸」と名付けた船の出航を祝う歌声が、体育館中に高らかに響き渡りました。
なかなか前には進めないけれど、一生懸命つながろうとする私たちの背中を荒馬座の皆さんが温かく押してくださる気持ちがありがたく、今も思い出しては涙ぐみそうになります。
おしまいは、勇壮なぶち合わせ太鼓。
その迫力ある演奏は、体育館の床からもしっかりと鼓動が伝わり、私たちの心と体を大きく包み込みました。
荒馬座の皆さんも、コロナ禍で大変な状況のはずなのに、こんなにも心のこもったプログラムを組んで、私たちを熱く励ましてくださって…
はいっ!!
その声援に応え、これからの川口ぞうは、水陸両用列車として、新たに車両を整え、明るく元気に進んでいきますよ~
「あ~~、歌いてえなあ。踊りてえなあ!!」
そう叫んだしばやんならずとも、その場にいた全員が同じ想いを持ったことでしょう。
代表して、高校3年生のHOさんが心を込めて述べてくれた感想にも、その想いが強く込められていましたね。
感想のあとは、「皆さんのコーナー」として、SGさん、Tさん&SKさんからの訴えと、Wさん親子による「健ちゃんのお茶」のご案内があり、最後にこの4月から看護師さんとして歩んでいくNさんが、ストロベリーズの「さくらコンサート」のお知らせをしてくれました。
スタッフは、3月の感染状況を見て、本当に開催していいのだろうか、悩みながら何度も話しあいを重ねてきました。
そして、「たとえ歌ったり、手をつないだりできなくても、この場に集まり、みんなが顔を合わせられることを喜び、荒馬座からエネルギーをもらい、平和への想いを新たにする日にしよう」と決心しました。
開催の案内の時は想像すらできなかったロシアのウクライナ侵攻で、まさに「ぞうれっしゃ」で描かれた世界そのものが展開されている今、私たち一人ひとり何ができるのかを問う場にもなったと思います。
本当は、交流の時間もいっぱいとって、大声で10番を歌い、「いつから練習が始まります」とか、「いつが本番です」と発表できればいいなと思っていましたが、まだお伝えできず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
でも、スタッフの気持ちに応えて、この日、この場に、たくさんの方が集まってくださり、この素晴らしいエネルギーに満ちた空間を一緒に創り、平和への想いを束ねて発信できたことを、誇りに思います。
市原ぞうの国を通じての「ウクライナの子どもたちと動物たちの支援募金」の呼びかけにも、驚くほどの想いが集まりました。
本当にありがとうございました。28日、確かに送金しました。
終演後、素敵な感想もたくさんいただいています。
中には、荒馬座の皆さんへの感謝と合わせ、今の私たちを「各駅停車の川口ぞうれっしゃ」と名付けて、「ゆっくり走って一緒に景色を楽しもう」と伝えてくださったものもありました。
スタッフ一同、この言葉にも励まされ、この日の出会いに感謝し、蓄えられたエネルギーをばねに、「ここでやっとあえるね」ではなく、元の歌詞にあるとおり「ここにくればあえるね」の日常が一日も早く戻ってくることを祈りながら、これからも知恵を出し合っていきたいと思います。
また、必ず心弾むお呼びかけをします。
どうか、それまで元気でお過ごしくださいますよう!
Text by あのじ
Photo by まのじ