2024年11月24日 はれ
朝、目が覚めてラジオをつけると、私の大好きな新沢としひこさんの「にじ」が流れてきました。
あ、これは何て幸先いいのかしらん。思わず、ニッコリ…
しっかりと朝ごはんも食べて8時半、台車に楽譜やら、チラシやら、あれやこれやと積み込んで、元気にしゅっぱ~つ。
わざと後ろ手に引いて「♪空襲の続くまちを、荷車を引き、エサをさがしまわった~」なんて、口遊みながら。
いよいよ待ちに待った練習が始まるぞう。みんな、どんな顔してくるのかな。
お久しぶりさんも、初めてさんもいるけれど、また新たなメンバーの車両も連結した列車が走っていくね。
9時には、スタッフ集合し、設営開始。
そこへなんと、「今回初めてなので、早く来ました」と飛びこんできた人が…
「すみません。ちょっと待っていていただけますか」
「あ、よかったら椅子出すのとか、お手伝いしてもらえますか」
なんて、ちゃっかりお手伝いを頼んじゃった(笑)
それでも、嫌な顔一つされず「はい」と気持ちよく手伝ってくださった。
それからもまだ受付の準備整わないうちに、次々にやってこられて…
す、すごっ!
「初回は受付が混むので9時半前に来てください」とメールでお願いしたことに、皆さんしっかり応えてくださってる!
さて、漸く受付準備ができ「受付始めま~す!」
9時半にもならないうちに、ほとんどの人が受付通過。久しぶりの練習にワクワク、はじめての場所でドキドキ…待っている間も、お隣の方と話される時間もたっぷりあって、よかったかな。
10時
「皆さん、お待たせしました。これから本番に向かって、練習開始しますよ~。まずは、指揮者の酒井さん、ピアノの遠藤さんをご紹介します」
「皆さま、よろしくお願いいたします」
では、寺ちゃん、体操お願いしま~す。
「今日は寒いですから、まずはからだをほぐしましょう」
ほんと、ぎゅんぎゅんに固まっていたからだが少しずつほぐれていった。
さあて、体も温まったところで、いよいよ酒井さんの登場!
「どんな練習が始まるんだろう」と、みんなの目が酒井さんに集中したところで、酒井さんがステージのピアノの前へ移動し、流れてきたのは…
♪かきねのかきねのまがりかど~
あ、「たきび」だ!
「皆さん、発声を兼ねて、この歌をご一緒に歌ってみましょう」
まがりかど、北風ピープー、さざんか、たき火などなど、いろんな言葉が出てきます。
「何を伝えたい?」
同じ音や歌詞であっても、その音の持つ温度や色、形、質感などが、酒井さんの一声でぐっと変わり、目の前に純白のさざんかや真っ赤なたき火の炎などが浮かび上がってくるよう!
「自己紹介代わりに、この歌を歌ってもらいました。まずは、皆さんには、歌っていて楽しいと思っていただきたい。そして更にその先に進んで、設定を明確にして伝えていきたいと思います。ある意味、これは私の決意表明でもあります」
酒井さんが語られる言葉すべてが呑み込めているわけではないし、そんなにすぐに上手くなるわけでもないけれど、なるほどと納得しながら少しでも近づこうと歌える幸せ。これから7か月の間、またこんなに素敵な時間が過ごせるんだ。そう思うと、楽しい中にも新たな一歩を踏み出す緊張感も心地よく、胸が大きく高鳴って…
さあ、お次はいよいよ、待ちに待ったぞうれっしゃ。
いちばん初めは、やっぱり10番。
初めての人もたくさん参加しているけれど、心配しないで。
子どもたち、今日はまずはここだけは覚えて帰ろうね。
♪ぞうれっしゃよいそげ、やみをさいて走れ、ぞうれっしゃよいそげ、空を駆けて走れ~~♪
わあ、すごい!初めてなのに、よく歌えてる。
酒井さんも、ニコニコ。
「皆さん、ちょっと聴いてみて。ピアノからどんな音が飛び出してくるかな」
遠藤さんが弾き始めると、何と車輪を回して走る列車の音が飛び出して、重量感のある鉄の塊がリズムに載せて走っていくみたい。子ども達も自然に体を揺すってる!
「もう一つだけ、お願いです。やみをさいての『を』は、『o』ではなく『wo』でね。はい、じゃあもう一度、やってみようか。
いいですねえ。
じゃあ、子ども達、これから大人の人はがんばって練習するから、下へ行って遊んできてね。
いってらっしゃ~い。
寺ちゃん、本ちゃんのベテランさんに、望ちゃん、ゆうかちゃん、ひろくんの若者子ども係がそっと子ども達をエスコート。
この3人を先頭に、前回のコンサートでは、小さかった頃に親に連れられ、時にはさんざん怒られながら、それでもぞうが好きで、今度は自分たちがみんなの居場所を支えなければと、自発的にコンサートの成功のためにキビキビと力を発揮してくれるようになった若者達。今回もU君がお手伝い組から歌い手に回り友達を誘ってくれたり、すっかり声変わりしたK君が男性陣に入ってくれたりと、また輪が広がっていきそうで、本当に頼もしい!
「はい、ではあらためて、大人の方、よろしくお願いします。それでは3番を」
お~~~!
思わず叫ぶモリヤン園長と軍人シバやん。
2人は、一体何を思ったのかなあ(笑)
「最初のところ、『冬のまちに雨が降る』ですね。この『に』のところ、後のフレーズと間違えて『を』と歌ったりする人もいますが、気をつけて」
「この前と違って、アルトさん、ここはハミングで支えてください」
このハミング、やってみると、思ったよりもうんと難しい。
それを遠藤さんのピアノが支えて。
「前奏の部分、ここはハープのような音で!」
酒井さんが指示を出し、ピアノで応える遠藤さん。お二人の信頼関係が伝わってくる素敵な場面にパチパチパチ!思わず拍手が飛び出した。
「初めての人もいらっしゃるし、前回参加した方もいらっしゃいますが、新しいぞうを創るために、僕もまた新しく買ったこの青い楽譜を真っ白な気持ちで一から読み込んできました。皆さんも狎れることなく、ぜひ新たな気持ちで取り組んでください。いろいろとやりながらお伝えしますので、楽譜にしっかりと書き込んでいってください。ときどき前に言ったことと違うことを言うこともあるので、できれば消せるように、鉛筆がいいですね」
今日も3番の中でいくつか、楽譜の記号の位置や長さ、強さを変えたりなど、細かい指示もあったので、今回お休みした方は、次回お隣さんに確認してね。分からなければ、スタッフに聞いてね。
初めての人も、本当に一生懸命。
今は覚えようと必死に楽譜を見ているけれど、大丈夫!
みんなで歌えば、怖くない!
これから何度も繰り返し伝え続けるけれど、大船に乗ったつもりで、ど~んと酒井さんに委ね、酒井さんの顔をよくみて歌えば、必ず歌えるようになるから、どうか安心してね。
さて、このころ、子ども達はどうしていたかな。
10番の練習もやってたみたいだけれど、優しいお姉さんやお兄さんといっぱい遊べたかな。
戻ってきてからは、今度は4番。
木下サーカスから動物園にやってきた4頭の象さんたちが、太鼓を叩いたり、ラッパを鳴らしたり、いろんな曲芸をするのを見て、子ども達が大喜びする場面だよ。
「アドン、エルド、マカニー、キーコ」
ここだけは覚えて帰ろうね。
4頭の象さん達、それぞれの呼びかけにちゃんと振り返ってくれるようになったかな。知らんぷりしないかな。キーコが小さい声になってしまって、ひがんじゃったりしなかったかな。
うん、子ども達、がんばってるぞう。
あっという間に12時を回って、「おなかすいた~」
はい、では今日の練習はここでおしまい。
その瞬間、ホッと息を吐く音と笑顔が一緒になって体育館を包み込み…
今回は、恐らくは誰もが期待と不安とがない交ぜになってここまで足を運んでこられたと思うけれど、初回とは思えないほど熱く、笑顔弾ける練習を終え、帰路につくみんなの顔がとっても明るく、これまで一生懸命準備を進めてきたスタッフも、一安心。
初めてさんから頂いた感想がそれを物語ってくれているので、いくつか抜粋してご紹介しましょう。
💛本日は酒井先生のご指導にすっかりはまって、また、周りの方の歌声にのらせていただき、少しですが歌えた感じでした。
様々なご準備、ご配慮をいただき、ありがとうございます。自主練して、また参加いたします。よろしくお願いいたします。
💛帰って参加するかどうか検討する予定でしたが、帰りに申し込みをし、CDをお借りし、残り少なくなっていた記録集も求めて、読ませて頂きました。
私も30代の子育て中、興味はあったのですが、何せフルタイムの仕事で忙しく、ようやく高齢者の仲間入りと共に少し時間も出来ました。受け入れのスタッフの皆さんが良い雰囲気で、酒井先生のご指導も的確、ピアノの方も優しい感じで安心しました。
💛サイコーの合唱団でした👍S君もよくお話してくれて、可愛かったですね。今後もよろしくお願い致します🙇
そうそう、今日は、本番で吹いて下さるフルートの嶺井千奈さんもわざわざ駆け付けてご挨拶下さったっけ。
嶺井さんは、12月にN響の客演と東京フィルの第九の公演を控えているそうな。超多忙な中で私達と繋がろうと来てくださったその心意気、多くの人を魅了するその音色と同じ温かなお人柄に、すっかり感激してしまったのであります。
毎回いろんな車両を連結して終点に向かい走っていく象列車。
前回はコロナ禍で中断し、3年振りの練習再開後もそろりそろりと車輪を回しながら走り出したけれど、どんどんと思いが繋がって心震える本番が実現できたよね。
今回も、まだたった一回の練習が終わったばかりだけれど、なんとも素敵な列車になりそうで、もう今からワクワクが止まらな~い。
次は12月8日、元気に来てね。待ってるぞう!
Text by あのじ
Photo by くのいち、ホープ森山、ゆうか、あのじ
【おまけ】
🐘練習に出たくて、スタッフにくっついてきたゾウさんたち
Photo by ホープ森山