すごいな、子どもたち!

6月25日

今日も暑くなりそう!
行き帰りの道は、カンカン照りじゃないといいけれど、みんなどんなふうにやってくるかな?きっと通りの右に左にと、「陰を慕いて」くるんじゃないかしら。

そんなことを思いながら集会所に向かいましたが、いつもは一番早くに来て鍵を開けるのを待っていてくれるHさんの姿がみえません。
その頃Hさんは…
実は、こんな素敵なことがあったようです。

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今日は、朝15分前に着きました。ネジバナを見つけて写真を撮っていると、「何かあるのですか?」と声をかけられました。


中国の母子で、「こんな小さな花なのにラン科の花で」と話すとびっくりしていました。
それから、「今日は合唱の練習がある」と話すと「歌はいいですね!どんな歌をうたいますか?」と問われ、どう言えばいいか…
でも気付くと「平和の歌です」と答えていました。
すると、「いいですね!平和は大事です」と、そして「頑張ってください」と言われました。
こんな素敵な出会いがある芝園団地、ここで練習できる私たちは幸せだなあと思った朝でした。

そして始まった子ども達の練習、歌も頑張っていますが、折り紙でぞうさんを作ったり、コンサートで飾って!と可愛いメッセージを手渡されたり、気持ちがひとつになってきたことを感じています。

 

Hさんのこのメールを読んだとたん、目頭が熱くなりました。
そうなんです。今日の主役は、間違いなく子ども達…

9時

いつものように設営開始。
モリヤンの一番の心配は、駐車場のこと。今日は果たして大丈夫でしょうか。

  

9時45分
受付がごった返してきました。
「チケット代金、この封筒に入ってます」
「はあい」
「すみません、チケットあと3枚下さい」
「すごい!がんばってますね」

そこへ「おはようございます」と飛び込んできたのは、朝日新聞の浅田記者。
音楽が大好きで、自らピアノも弾くというこの方、初めてぞうを聴くそうな。
溌剌としていて、取材と言えども、なんだかワクワク楽しそう(笑)

「よろしくお願いします」
「こちらこそ!」
みなさ~ん、お顔の準備はいいですか~!

10時

寺ちゃん体操の後は、今日も子ども達は別室へ。
子ども議会の役決めも待っています。
「いってらっしゃ~い。がんばってきてね」

送り出された子ども達、中には緊張の入り混じった表情の子もチラホラ。


「では、大人の皆さん、始めましょうか。まずは、4番のパートで分かれるところからやってみましょう」
酒井さんの指摘は、いつも変わりません。でもそれを受け止める団員一人ひとりの意識が随分と変わってきました。歌詞の読み込み方も違ってきました。
前回、今回と隣の人の音が聴こえる練習を通して、みんなでハーモニーを創り、支える歓びが歌声に乗って伝わってきます。少しずつですが自信が持てるようになってきた様子も…

やがて、7番、そして5番へ。

 

ドタバタ廊下を行き来していると、ときどきどっと沸くような大きな笑い声も聞こえてきます。思わず覗くと、おやまあ、どの顔も「しあわせ」そうな素敵な笑顔に包まれているではないですか。
一体何がおかしかったのでしょうか。
よく見ると、取材をしている浅田さんも大きな口を開けて笑っています。(ちなみに彼は、「練習を聴いていたら、とても欲しくなって、ぞうの楽譜を買いました~」と帰りがけに伝えてくれました…笑)

今回も団地に住む何人もの人達が、何をやっているのかと入口まで来て帰って行かれました。用事があって練習に遅れたTさんも「ああ、私このままずっと聴いていたいなあ」と言って、練習会場に入っていきました。

そのころ、子ども達は…
寺ちゃんの指導で、8番を歌い始めました。
歌もセリフも、誰がやっても大丈夫なように、みんなで声を合わせます。

その後は、改めて、議長、セリフ、ソロと立候補の子を確認しました。
議長役は2人が立候補。
2人とも落ち着いた気持ちのよいキビキビした声で、きりっとした眼差しが本当に美しく、どちらがなってもおかしくありません。


ソロは3人が立候補。
ここはモリヤンにもお願いし、まずは一緒に、その後は一人ずつ歌ってみたりしました。

みんな家で一生懸命考えてきたのでしょうか。セリフも何人か手が挙がりました。
いざ発表の時には立ち会えませんでしたが、「どの子もみんなが主役の子ども議会、がんばろうね」という寺ちゃんの言葉をしっかりと全員が受け止めてくれたようです。
ソロは、結局立候補した3人が一緒に歌う「ソリ」の形をとることになりました。

 


子ども達が戻ってきました。
まずは、大人の人達に、決まったばかりの議長やセリフ、ソリのご紹介から。
どの子もちょっぴり恥ずかしそうにご挨拶していましたが、拍手を受けて、きっと心の中はうんと気持ちが高まっていたことでしょう。

 

 

「じゃあ、8番やってみるよ!」
歌い出したとたん、
「いいねえ、子ども達。すばらしい!」
酒井さんから褒められて、声がまた一段と乗ってきました。
すごい!

大人の間からは、思わずはあっと息を吐く音が…
子ども達の歌声の変化を感じながら、この声を支える大人の役割の重大さを改めて感じたのではないでしょうか。
そう、頑張らなくちゃね。

9番、10番、11番
子ども達は、やはりどの曲も一味違っていました。
思わず酒井さんが頭を下げて、
「寺ちゃん、ありがとうございます」
「いえいえ、ちっとも」と、照れて手を振る寺ちゃん。
30年以上続けていても、毎回、集まる子ども達は違っていますから、マニュアルなんかないのです。
ここまで来るのに、寺ちゃんと一緒に、子ども係の本間さんや、川口ぞうで歌いながら成長した優佳ちゃん、和歌ちゃん、望ちゃんたちも、本当に頑張ってくれました。
仮に子ども達の声が良くなっていると感じられたとしたら、それは決して「子ども達にちゃんと歌わせる、やらせる」という姿勢ではなく、「慌てずに子ども達と落ち着いた信頼関係を創っていく」ということを大切にしてきた結果であり、恐らくそのことはこれからもずっと続いていくのだろうと思うのです。

川口ぞうの枕詞「いのちと平和と子どもたち」を掲げて…

 

次回は7月2日。体育館へ戻ります。
間違えないでね。

 

Text by あのじ
Photo by くのいち あ

【おまけ】

チケットもがんばろうね!


【今日は何の日】

80年前の1943(昭和18)年6月25日は、戦争拡大にともない、軍需部門を中心に労働力不足が深刻化したため、東条内閣が「学徒戦時動員体制確立要綱」を閣議決定した日です。これにより41年に結成された学校報国隊は強化され、戦技・特技・防空訓練を図り、女子は救護訓練を行うこととなったそうです。