5月28日
朝起きて、いの一番「どうか、雨粒が落ちてきませんように!」
そうなんです。
今日は大量の荷物を台車に載せて、がったんごっとん運ばにゃならんのです。
え、何を運ぶかって?
それはね、スタッフから団員の皆さんへお渡しする「重た~い花束」(笑)
どっさり積んで、いざ出発!
荷車を引き、エサを探し回った飼育員さんの気持ち、ちょっとだけわかった気がします。
9時前
椅子並べは、すっかりベテランになった健ちゃん&わのじさん親子にお任せし、集まったスタッフは「重た~いコンサートチラシの花束」を20枚ずつ仕分けるための作業開始。
何しろ、9時半の受付開始まで間に合わせなくちゃなりません。
こんな日に限って、来られないメンバーが何人もいるもんだから、大わらわ。
この「重た~い花束」を玄関から3階の体育館まで抱え上げて運んでくれたわのじさん、お腰は大丈夫?
「大丈夫ですよ。まだまだいけます!」ですって。
本当にありがとうございます。
このチラシは、一人ずつ仕分けしておいたチケットと一緒に渡す、コンサート成功のための大切な宝物。
なんてったって想いがこもってますもんね。
10時
柴ねの体操が終わり、酒井さんの第一声。
「今日は最初から通してみます。練習していない曲もあるので、そこは気にせず、とにかく歌ってみましょう。それじゃ、子ども達、行くよ。はいっ!」
サーカスだ、サーカスだ…
あれあれ?どうした、子ども達。
そうなんです。酒井さんすみません。この子達、まだ一度も1番の練習やってないんです。
けれど、子ども達。酒井さんの指示を一生懸命聞こうとするので、ぐんぐん声が変わっていきます。
今回初お目見えの団長Hくんも、つられて元気に「アドン、エルド…」
支えているはずの大人のほうは、はてどうかしら。
酒井さんからこんな指示が出ました。
「♩=120 と書いてありますが、ここはテンポを126くらいに少し速めにします。テンポについては、3番は重さを出すために遅くしたり、大幅に変えたいと思っています」
すごく大事なことが出てきました。
間違えないで歌うことももちろん大事だけれど、ちゃんと酒井さんを見て!
これまで歌ってきた人は、特に酒井さんのテンポにしっかりとついていかなければ…。不安な人は、片方の目で楽譜を見て、片方の目は酒井さんかな。
大丈夫!酒井さんを見ていれば、必ず歌えますから。
試しに一度は楽譜から目を離して、酒井さんだけを見て歌ってみませんか。
間違えたって平気。
「ミスをミスとすることがミス」ですって。
間違えたら知らんぷり。誰かのせいにしちゃえ~!
拍手は、しっかりと手を開き、音を張って!
ああ、みんないい音になってきました。
前と指示が変わったところもありました。
「♪こどもたちの夢の世界~」の「こども」は音を切らないで、スラーに。
いろいろ出てきました。
次は2番。
少女ソロの西山かれんさん登場。なんて、初々しい!
子ども達は、初めてのソロに驚き、ぽかんと口を開けて聴いてます(笑)
最後、ピアノの音が消えたあとも、声はそのままに…
わあ、すごい、みんなで拍手!
なるほど、これはほかの曲でも必要な場面があるんですね。
大きな拍手に送られ、少女が去って、3番へ。
この曲、大人ももちろんがんばったけど、何よりもその練習を座ったまま静かに聞く子ども達がすごかった!そんな子ども達に大拍手!
今までは、大人と子どもと完全分離で練習し、合流する流れできたけれど、酒井さんの練習では、子どもも大人もそれぞれ自分たちの歌っていないところがどんな風に流れるか、それを聴いたり歌ったりしてみることで、そのことが曲を理解するためのとても大切な時間だということに気づき始めました。
3番も、男声女声、それぞれどこを歌うのか、楽譜どおりなのか、それとも補い合うのか、最終的には仕上がり具合を見て酒井さんからの指示が出るまで、しっかりと全体を把握して、どこに気をつけて歌うのか、体にしみこませておきましょ。
さあて、子ども達、本当にお疲れ様。
少し休憩ね。後ろで遊んでおいで!
マイけん玉を持ってきた子もいたり、子ども達なりに休憩時間の過ごし方にもなじんできたのかしら。
やっぱり子ども達は遊びが好きなんですねえ。発散した後の4番は、とってもいい声だったもの。
休憩後は、4番、5番、6番、そして7番を飛ばして8番と、一気に進んでいきました。
次回の酒井さんの練習は、8番から終わりまで。そして4番に返るそうな。
子ども達の8番はそろそろセリフやソロのことも考えなければね。
やることいっぱい。でもすごく楽しそうないいお顔。
ある低学年の子のお母さんから、こんなメールが届きました。
「息子は合唱の楽しさをクラスメイトに話したそうです。また、息子は合唱が楽しい、歌うと気持ちが洗われて綺麗になる、と話しています。素敵な時間を有難うございます」
この3年間、再開を待っている間にも、自分自身や家族のことで苦しい思いをした人が何人もいました。コロナ禍の中での病気や介護、仕事、子育て。中には学校に行きたくなくなった子も…
ある人は言いました。
「突然の家族の病気とか、大変なことがいっぱいあるんだけれど、ここに来て酒井さんの指揮で一緒に歌っていると、本当に元気になるのです。だから何とか練習に出ようと思って、今日も来ました。やっぱり来てよかった」と。
きっと、体育館の中では、いろんな人生が織り重なっていることでしょう。言葉に出すことはなくても、恐らくこれは、この空間を共有した人の共通した想いのはず。そんな想いを酒井さんがしっかりと受け止めて、指揮棒にエネルギーを託します。
子どもだけの参加で、いつもは練習の場にいなかったお母さんが、チケットを受け取った後の練習の様子に感動して、一緒に歌いたいと楽譜を買って帰ったそうです。
それから、どうしても酒井さんの指導を受けたいと、介護のために移った鹿児島からはるばるご夫妻でやってきたMさん。
練習の後に「もう本番まで来られないと思っていたけど、これからの練習も出た~い」と言って帰っていきました。
今、そんな練習を重ねられることを誇りに思い、絶対に素晴らしい本番になることを確信しています。
そして、なんとしても一人でも多くの人に私たちの心を込めた歌声を届けたいと、心の底から願い、新たな決意をしたあのじでありました。
これからは毎週の練習になりますよ。
風邪なんかひかないように、気をつけてね。
Text by あのじ
Photo by くのいち、あ
【追伸】
練習中にこんなことも…
Oさん、休憩中に携帯をみると、「孫が生まれた」との連絡が入っていたそうです。
思わず、その辺りにいたみんなで「おめでとう!」
「生まれてきた子に何が残せるのかしら」
Oさんの歌声には、いっそう力がこもったように見えましたよ。